木南晴夏主演、友達も彼氏もいないコミュ障の40歳OLだが、夜は趣味のベリーダンスに没頭。そんな田中さんに憧れる、生見愛瑠。
生見のキラキラと対比されるからか、木南の不細工具合が際立っている。メイクや照明もあるだろうが、この垢抜けなさの発露は木南の演技力によるところも大きいはずだ。
さて、ストーリーとしては大きな盛り上がりがあるわけではないのだが、木南晴香とその周囲の人々が、お互いに関わる中で少しずつ変わっていく様が丁寧に描かれる。
主人公が単に自信をつけて脱コミュ障するといった話ではないところがポイントだ。木南の、実は強く大胆な生き様に影響されて、生見愛瑠や、堅物ミソジニストの毎熊克哉、その母の市毛良枝、マスターの安田顕などが、自分の人生に前向きになってゆく。さらに生見愛瑠の彼氏でパリピ商社マンの前田公輝も、生見や毎熊に影響されて成長するなど、各登場人物のキャラクターや、内面の変化がしっかりと描写されている。
ともすれば多様性の名の下に、例えばコミュ障はコミュ障として、一面的な人物のとらえ方により要配慮認定をしてしまい、その他の様々な面に目を向けようとしない世の中になってはいないだろうか。本当の多様性とは、人間はそもそも多面的であり、一人の人間の中にある様々な面を想像したり向き合ったりすることなのではないかと、このドラマを見て考えた。
原作は未読なので、原作の良さがドラマ版で損なわれたかどうかについてはコメントできないが、少なくとも本作のメイン脚本家は十分な仕事をしていたとは思う。
