Harutaco

無人島のディーバのHarutacoのネタバレレビュー・内容・結末

無人島のディーバ(2023年製作のドラマ)
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このレビューはネタバレを含みます

ぶっ飛んだ設定だった…
ウハク/チェホの失恋についてはあまりに切なくて心より同情…。パク・ウンビンはめっちゃ歌上手いしかわいい。

悪役のボンワンについて備忘録。
最終回までボンワンが登場しないことを願いながら観ていたけれど、最終回で、この物語、もしかして主人公はボンワンでは?と思うほど考えさせられた。
なぜボンワンがあそこまで狂気的に家族に執着するのか。そもそもなぜ家族に暴力を振るうようになったのか。その後彼はなぜあそこまで孤立し、思い出と理想という、現実とあまりにもかけ離れた殻の中に閉じこもり続けたのか。

(元)妻や息子たちの行動は当然でかつ真っ当だ。モクハのように、同情したらあかんと切り捨てることも真っ当に見える。(元)妻が傘を渡すような、憐れみにも見える行動も理解できる。だけれどそれしかできないこともよくわかる。
誰もボンワンを救えなかったこの世界。そして死後に書類上でも家族を失い、永遠に孤独な骨となる。あの骨壷の光景が印象に残っている。

かわいそう、とかそういうのではない。彼の行為は許されないし怖いし怒りでたくさんだ。彼を人生から消すことで幸せを得るギホたちについては、どうかその幸せが守られるようにただただ願った。画面に登場したら嫌な気分になるし、できるだけ登場せずにギホたちが幸せに生きられることを切に願った。最後、彼らの家族生活が安全に建て直されたことが嬉しかったし、もう1人の(本当の意味での)父親の温かさに癒された。
しかしボンワンのような人間はどうしえ生み出されたのか?モクハの父に関してはモクハが少し語っていたけど、ボンワンは…?

とことん極悪に描きながら、最後に最後に孤独を強調するということは、「あなたはボンワンをどう考えますか?」という視聴者への問いかけだろうか?それともあの孤独の強調は、「自業自得だ」という、彼を完全に切り捨てるメッセージなのか。
自業自得ゆえに、同情の余地なく家族からも社会からも見放され、追い詰められる存在。そういう人が世の中にいるってことをドラマは伝えようとしているのだろうか。

繰り返しだか彼がかわいそう、とかそういう話ではない。しかし、彼が、嫉妬、恨み、執着のためだけに生きるようになったのはなぜだったのか。それは現実世界を考える上でも目を逸らしてはならないことに思えた。

だから、ボンワンがなぜ家族に暴力を振るうようになったのかがとても気になる。

ただ立っているときの佇まいが醸し出すオーラ、すごかったなぁ。


2024.2.10追記
ボンワンの件は、日本の共同親権を考える上でも大事なことを教えてくれている。犯罪だとわかっていても名前を変えなければ逃げきれない、離婚できない、生を脅かす暴力から逃れられない。では離婚しても共同親権が認められたら、ギホたちはどうなってしまうのか。。
DVに脅かされる人たちの恐怖、痛みがはっきりと伝わる作品だ。それをめぐる社会構造について考えないといけないな…。
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