noris

とと姉ちゃんのnorisのレビュー・感想・評価

とと姉ちゃん(2016年製作のドラマ)
4.0
暮らしの手帖社社主の大橋鎭子は静岡とも深川とも縁がなく、したがって高畑が戦後に甲東社(大橋が務めたのは日本読書新聞)で働きはじめるまでの物語はNHKのオリジナルで、戦前戦中の暮らしの描写でしかないはずなのだが、それを伏線として「あなたの暮らし」が標榜する市井の人々の暮らしとして活かすような仕掛けもなく、後半は、花森安治という人の伝説としてまるで空気の違うものになってしまっていた。

西田征史(台詞のくどい「魔王」「アリスの棘」などを書いた人)が書いた「このご時世、すでに失敗しているようなものじゃないですか」や、花森=花山(唐沢寿明)を口説く「私となら必ずできます」といった高畑充希の台詞は、ドラマの前半と後半を切り替えるための重要な台詞だった。最終回で高畑充希は自らが書いた3つの誓いの短冊を抽出しにしまい、亡父から母と妹たちを託された長女の半生物語としてドラマは終わるのだが、見ている方は前半と後半を一つのものとして受け止めることは難しいのではないかと思う。

#高畑充希 については、傑作「問題のあるレストラン」で、例によってものすごく長いモノローグ(書いたのはもちろん坂元裕二)をうまく演じていたのが印象に残っており、以降、ツンデレが持ち味の女優として認識している。年末に舞台「わたしは真悟」でまりん役をやるらしく(悟役は門脇麦)、これはかなり見てみたい。
noris

noris