再放送されないので、ついにDVDを買ってしまったドラマである。
ブランコに乗った子役の傍らにしゃがみ、前後に揺れるその動きを見つめる波瑠の瞳が、右に左に、正確に移動する。これが緊迫感のある特異なシーンになっているのは、素材としての波瑠の力によるところが大きい。
初回はなんだかよくわからず（記憶能力のある設定というのは不要だったのでは？）、3話あたりからようやく面白くなってきた。「沙粧妙子 -最後の事件-」を思わせる、といった感想をどこかで読んだが、「犯罪者が自死する脳腫瘍を発生させる腕時計」というトンデモガジェットが出てきたり、それを発明した林遣都の心療内科医がレクター博士みたいな囚われのプロファイラーになったり、ド派手な連続猟奇殺人が毎週のように頻発したりと、かなりの荒唐無稽ドラマなのだが、演出はなぜか控えめというか、弱いぐらいで、外連味を感じさせたのは青いカラコンの芦名星ぐらい。美人すぎる変態殺人鬼を演じた佐々木希ですらフツーだった。
最終回のクライマックスなど、いくらでも恰好よく演出できたはずだが、見ている側の満足度をあえて下げた理由は何なのか。ラストシーンも蛇足で、結局、波瑠という素材の優秀さだけが残るドラマで終わってしまったのは残念なことである。
