たむ

もうすぐ死にますのたむのレビュー・感想・評価

もうすぐ死にます(2023年製作のドラマ)
4.4
寝不足覚悟案件のホラーファンタジーです。
自殺した青年のもとに「死」が現れて、死が近い12人の人生を生き残れれば、地獄行きを免れる、というところから始まります。
この筋自体は、『第七の封印』から始まり、
他にも転生ものなどの類似作品は多くあり、『幽遊白書』の変化球版とも言えると思います。
12人を全て違うキャストで描く、というアイディアも素晴らしいですが、なくはないです。
しかし見始めたら、もう止められません。
しかも進むごとにどんどん引き込まれていきます。
全ての人生が絵空事ではなく、ホラーやファンタジーなのはきっかけであって、非常に深く掘り下げられます。
さらに12人の生が絡み合い、結びついていきます。
止められない、寝不足になる原因はここにあり、主人公の人生を取り巻く様々な人間関係にまで影響を及ぼしていき、個人の世界から広い世界にスケールが大きくなります。
張り巡らされた伏線の数々の集結も見事で、予想不能。
広い視野で生きることを捉え直していくドラマです。
またキャスティングは全員素晴らしいのですが、大病からの復帰作となるパク・ソダムさんの演じる「死」の迫力は尋常ではありません。
「死を道具にするな」というセリフ。
もともと演技派の女優さんですが、本作は鬼気迫る、恐ろしいほどの説得力を作品にもたらしています。
このキャスティングも、シナリオ以上の作品へと昇華した印象です。
ジャンルものと侮るなかれ、ですね。
たむ

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