ぷん

THE CURSE/ザ・カースのぷんのレビュー・感想・評価

THE CURSE/ザ・カース(2023年製作のドラマ)
4.5
マジで今、一番ヤバいドラマがコレ!!

アンカットダイヤモンドやグッドタイムを監督したベニーサフディ、この人オッペンハイマーに出てきたあの頭良さそうなアイツか!

この二作もとんでもなくやばいので、見てほしいんだけど、特色として「思わぬ方向に行く」脚本を描くんだけど、思わぬ方向に行きすぎてて、現実っぽ過ぎる

弱者に良いことをする→何かしら良いことがある、感謝される
テレビに出る→影響力で何かが起きる
インタビューで強い言葉を言ってしまった→社会から虐げられる

が、すべて思った方向にいかない
アリアスターなら全て最悪な方にいかせるが、最悪な方にもいくわけでもないし最悪な方にいくこともある
マジでなんだったの!となるんだけど、その結果が妙にリアル

しかも、重要そうなことが特にストーリーに繋がるわけでもなく、些細なことがストーリーの重大な要素になったりする
もうずっと不穏で、時に爆発して、ストーリーにずっと振り回される

ラストの解釈なんだけど

グッドタイムもアンカットダイヤモンドも物や言葉、人にされたことを、思い込むことで体が突き進んでいく流れとなっている

夫のネイサンは結局何かの引力にずっと振り回されてきた、小さい女の子、妻、そして‥ということだと思う
短小であり男らしくないと思い込むこと、偽善者だと言われそう思い込むこと

夫婦2人のドキュメンタリーが結果的にネイサンが夫らしくないという切り取られ方をされるシーン
ネイサンがこれを見て、ハッキリわかったような口ぶりで「自分は何者でもない」と話すんだけど、全編を見てきた視聴者からしたら全部奥さんとテレビ制作陣に仕組まれていたことが分かるし、ネイサンはどちらかというと喧嘩腰な人間であり、そういうシーンがいくつも出てくるので男らしい方である
思い込みが彼を形成し、終わりに近づけば近づくほど聖人君子のような立ち振る舞いをし出すのが怖くて仕方なかった

ただこの解釈自体も、思い込んでるだけで、こうやって体がそう解釈させ突き進んで書かせてるだけなのかも‥と考えると私もネイサンなのだ

ストーリー全体を俯瞰して見ると、本当にたまたまそうなっただけ、だったようにも思えるのでこの脚本は見ている視聴者も巻き込んでネイサンにさせてくるので、今ある映像作品の中でもトップクラスの出来だと思う

この、現実身を神話化させるという凄み、人間の新たな解釈の一つだと思う
ラスト30分はほんとに想像がつかない
笑って良いのか泣いて良いのか分からなすぎて怖すぎた
うまく言語化できないけど今まで見てきた映像作品とは別の「恐怖」に出会えた感じがある

映画好きな人は必須で見てほしい
こういう作品を見るために頑張って生きてる
ぷん

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