単に主人公がゲイで男にやたらモテる様が可愛いだけじゃなくて、「ゲイは地獄に落ちる」をファンタジーのメタファーとして「ゲイは地獄に落ちない」ストーリーに塗り替える様がクィアのエンパワメント作品としてめちゃ素晴らしい。
ゲイは不当に苦しめられている、でもそれに打ち勝つ力があるというメッセージ。
古い時代に生きた主人公がセクシャリティを模索しながら、現代の価値観を持った仲間に癒されてゲイをオープンにしていくのがシンパシーありすぎてとても良い。
クィアの物語にも深く踏み込んでくると思わなくて感動しちゃった。
現代の若者のために作られたハートストッパーみたいなクィアストーリーも素晴らしいけど、個人的にはこういうクィア表象の方が身に染みてしまう。
親友に恋したり、ゲイかもとお互いに気付きながら通り過ぎた人たちとか。
クィアで当たり前なのはさすがサンドマンの世界。同性愛嫌悪の男に物申すシーンがあったり、バチイケお姉さんが何の前置きもなくレズビアン(もしくはバイかパン)だったり。
猫の王もクィアなのをオープンにしてる俳優さん。
どのキャラもみんな好きになった。
アジア人枠のニコが日本人というのも嬉しい。若干ステレオタイプ的ではあったけどトンチキ日本じゃなかったし。
もちろんオカルト探偵話としても良くできていて面白く、特に前半はポンポンとテンポよく事件をいくつも解決していくのも楽しい。
サンドマンに比べてポップではあるけど、グロさホラー描写はしっかりダーク。
スッキリ終わりつつ、続きがありそうなラスト、もっともっとみんなを見ていたい。
