欲を捨て年寄りらしい暮らしをするつもりだった元旗本の半兵衛(水谷豊)だが、若い奈津(檀れい)を娶り、ますます盛んな日々を送っている。家督を譲った息子・新太郎(田中偉登)も目付に出世、最近では奈津が菜園で野菜作りを始め、自らも畑仕事を手伝うことも。そんな大殿・半兵衛の変化に目を丸くする用人・勝谷(岸部一徳)だが、やはり半兵衛同様、奈津の手伝いをすることに。 半兵衛は頼まれた絵を届けに隠居浪人・乾友之助(佐戸井けん太)を訪ねる。友之助は岩槻藩の元用人。家督を息子の彦太郎(橋本良亮)に譲ったが、今は胸の病に苦しみ、最近越してきたという医者のお美津(櫻井淳子)に診てもらっているようだ。 飢饉や災害に備えて米を蓄えている義倉が襲われる事件が続発した。半兵衛を訪ねてきた新太郎によると、老中・松平定信(杉本哲太)も民に米が配れないと頭を痛めているとか。そんな庶民が困窮する中、岩槻藩の大名・曽根忠信(安井順平)は権力に物を言わせて高額の物品をせびっているという。岩槻藩といえば友之助の…。その息子・彦太郎が新太郎に曽根の悪事を訴えてきたらしい。 畑から野菜が盗まれる事件が発生、奈津の畑も荒らされてしまった。奈津らに泣きつかれた半兵衛は機転を利かせると畑泥棒の次郎吉(あばれる君)らを捕まえることに成功する。半兵衛に叱責された次郎吉は義倉の米を奪った犯人を目撃したと訴え、必死に許しを乞う。 新太郎は目付として曽根に忠告するも煙に巻かれてしまった。相談を受けた半兵衛は岩槻藩が「初兎」という新米で儲けていることを知るが、お咲(中山忍)の店で口にした「初兎」の味に、ある疑念を抱く。さらに曽根はお咲の店でも高価な品をせびっていたらしいが、お咲は曽根のそばにいた目つきの悪い侍(山口馬木也)が恐ろしかったという。