「ようこそ、ベルサイユへ」 ママ・上杉まりえ(宮崎美子)が、優しい笑顔で客を出迎える。 東京郊外にある『介護スナックベルサイユ』。 客の大半は、要介護認定を受けた高齢者だ。 ボックス席では、チーママ・窪川みどり(笛木優子)が客の血圧測定を、 ステージでは、マネージャー・山本健太(木村 了)と 新米ホステス内海リラ(森 日菜美)が、体操の指導を行っている。 一見どこにでもあるスナックのようだが、ここは立派な介護現場。 それもそのはず、チーママのみどりは、昼間は看護師として、 健太も老人ホームでケアマネジャーとして働いている。 リラの先輩ホステス・新藤美来(杏花)は、介護士資格を、 バーテンダーで店の料理担当・石井英次(高山 広)は 管理栄養士の資格を持つなど、 スタッフの誰もがスナックと医療や介護現場の二刀流なのだ。 点滴をうってもらったり、とろみ剤入りのビールを飲んだり 介護が必要だった客がみるみるうちに生気を取り戻し、 ベルサイユのひと時を楽しんでいく。魔訶不思議な世界が広がっている。 「今夜は、あのワインをご希望です」 ラベルに記された「SEE YOU IN MY DREAMS」の文字。 まりえが提供するのは、これを飲めば会いたかった人に会うことができ るという“魔法のワイン”。飲めるのは、生涯でたった一度、しかも一杯だ け。客は人生最期の夢を叶えたいと、注文するのだ。夢の後には、思い出 の料理も振る舞われ…。 「お客さん、あのスナックなんか変ですよね?」 客の送迎を担当する21歳の大学生・神代大輝(杢代和人)は、 店の不思議な現象に戸惑っていた。 身体が思うように動かず不自由な思いをしているけれど、 最期まで人生を楽しみたいー、 そんなささやかな希望を叶える『介護スナックベルサイユ』 まもなくオープンです!