１１代将軍・家斉のころ・妙に白い肌を持ち、髪は紅い着流しの浪人・眠狂四郎が江戸を闊歩していた。人を寄せ付けない剃刀のような雰囲気を持つ彼には哀しい過去があった…。

大奥の御典医・室矢醇堂の飼い犬が駕籠から逃げ出し、娘・お弓を襲おうとするが狂四郎が助ける。生類憐みの令が廃止されて久しかったが、一部の権力者の間ではいまだその悪弊が残っていた…。

目黒川にかかる太鼓橋から目黒松樹明院までは急な行人坂がある。この坂で足腰の弱い人々の“尻押し”をして暮らしている少年がいた。

月明かりの夜道で狂四郎は数人の覆面武士に襲われている女を救った。その女、須賀が帰宅すると夫は「不貞を犯した」と怒り、須賀を斬りつけ殺し、自分も切腹をして果てた。一人残された息子の又之助は…。

夜釣りの帰り、狂四郎は元大阪天満与力・大塩平八郎の危機を救った。平八郎は江戸と大阪の米問屋の悪計を暴くために出府したばかりであった。

武家の妻、町人の娘など若い女が凌辱される事件が相次いでいた。裸にされた背中には「狂四郎　これを犯す」と書かれていた。もちろん偽物の仕業だが、街の人々は白い目で狂四郎を見るようになる…。

狂四郎はふらりと入った飯屋で働く気立てのいい娘・お春と知り合う。お春の兄・伊之助は腕のいい指物師だったが、今ではいかさまサイコロ細工師になり果てていた…。

関所物奉行・朝比奈修理亮と娘・きさは、狂四郎はに天草四郎ゆかりの金のマリア像を下田にいるカピタンに渡してほしいという。カピタンはもうすぐ帰国する予定だというのだ…。

兵頭家の前で腹を切った女を、通りかかった狂四郎は介錯する。そこへ、通りがかった女を追っていた暗闇の吉兵衛がやってくる。女は元勘定所の組頭・兵頭家の使用人だったという…。

女郎の咲耶と旅籠に入る狂四郎。旅籠で宿泊帳へ名前を書くことを求められた狂四郎は五曽木多十郎と偽名をしたためた。しかし、その名前を見た咲耶の表情が変わり…。

街で狂四郎とすれ違った男は狂四郎の白い肌、紅い髪に注目し、呼び止める。男の名は仏像師・蘆部光源。光源は狂四郎を家に誘い、マリア像を見せ出来栄えを問う。だが狂四郎は…。

将軍家息女・高姫は人目もはばからぬ色情っぷりだった。巷での狂四郎の噂を耳にしていた高姫は宴に狂四郎を招待した。その宴で高姫は狂四郎を別室に呼び誘惑するが…。

狂四郎は京の街で、子供たちに目隠しをさせ、銭をばらまき拾わせる女を見た。その醜い遊びに腹を立てた狂四郎は女の帯を切り裂き、立ち去る。しかしそれを見かけた義太夫は狂四郎に「今日を出た方がいい」と忠告する。

明日のない今日を生きる狂四郎にとって、世俗の正月祝いも無縁だった。しかし、そんな狂四郎が年に一度、年改めの気持ちで訪ねる人物がいた。

狂四郎は薬売り・松次郎と共に当てのない旅を続けていた。二人はある街道で威勢のいい渡世人・八代の銀次と知り合う。

酉の市を振袖の女がケラケラ笑いながら闊歩する。女は売り物を勝手に取る。それをとがめた商人は女に投げ飛ばされてしまう。

吉原の名花といわれた芸者・小登美が消息を絶っていた。浮いた噂の一つもなかった女だけに神隠しではないかとささやかれていた…

勘定方の源之進は城代家老・榊原帯刀の公金横領の証拠を記した封書を百両と交換しようとしていた。

鎌倉古街道で狂四郎は阿波人形一座のお吉と出会う。その目の前で早馬の男に斬りつけ、密書を奪って去る侍・陣内。斬られた男はお吉の知り合いの兄で会った…。

上州・高崎の城下町も間近。大八車を数人の怪しい男たちが運んでいた。それを目撃した狂四郎を殺そうとする侍たちだが、狂四郎に倒される。大八車にあったものは…。

狂四郎が江戸にもどったと金八から聞いた文字若は街を探し回る。

鎌倉・東慶寺は尼寺で、通称“縁切り寺”と呼ばれていた。この寺に狂四郎を夫と信じる美保代が身を寄せていた。

狂四郎は、とある街道筋で盲目の巡礼娘をなぶりものにして興じるバカ殿を懲らしめる。逆恨みしたバカ殿は３人の刺客を雇う…。

大雨の日、ある家の軒下で雨宿りしていた狂四郎は主から家で休むように言われる。

大奥への献上品を積んだ豪商・近江屋の抜け荷船が襲われた。襲ったものは表向き廻船問屋・相模屋の作兵衛だ。

狂四郎は母の墓に線香とりんどうの花を供える夢を見た。２５年前、犯され自害した母を殺したのは主水正だと強く思う狂四郎。そんな狂四郎に怪僧・覚禅が迫る！