大ヒットミステリー作家・芹澤環(板尾創路)が階段から転落し、突然この世を去った衝撃のニュースから 1 年。 新作で担当編集者にようやくなれるはずだった江藤恵(夏帆)は、芹澤の未発表の原稿があると妻・真理子(シルビア・グラブ)から聞き、自宅を訪ねる。そこで彼女が見つけたのは、芹澤の残した「日記」だった。突然事故で死んでしまった芹澤の生前の思いが残る宝を見つけ、後ろめたい思いと共に高揚感を抱く江藤。読んでいくうちに、書かれている内容は本物らしいのに、どこか自分の知る「芹澤環」とは違うように思える。「これは、だれが書いたのか」。 一方真理子は、芹澤の死後、彼が自身の悩みを生成 AI にだけ打ち明けていたことを知る。芹澤の残した日記にAIとの対話から受け取れる要素を創作として書き足し、江藤に見せていたのだ。 「人生の大事な1ページはいつですか?あなたにとってそれが今なら、私は喜んで新作を書く」と言っていた芹澤の言葉に無意識に呪縛され続けていた江藤。この日記をきっかけに、「人生のチャンスに間に合いたい」と欲望が膨らむ。江藤は真理子に、事故死の直前までの芹澤の日記を構築することを提案する。だが、数々の名作を生み出したヒットメーカーの心のうちを知りたいと思う人間は、この二人だけではなかった。 編集者としての自分にしがみつきたい江藤。亡き夫の本心に近づきたい真理子。二人の欲望が生んだ過ちは、予想もしなかったカオスを生み出していく―。
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