BK477

半沢直樹のBK477のレビュー・感想・評価

半沢直樹(2013年製作のドラマ)
3.4
おもしろいはおもしろいんだけど、一世風靡するほどか?
というのが率直な感想。

良くも悪くも全体的に昭和であり、昭和の時代を象徴するような、モノの考え方や時代が見てとてる。

まず、全ての登場人物が画に書いたようなキャラクターで、あまり現実味がない。

次に、「やられたらやり返す」という決めセリフがあるが、
仕事は戦いではないし、勝った負けたという感覚で仕事をしているのは、まさに昭和の人。「勝ち組、負け組」というくだらない価値観で生きている。考え方が文字通り前時代的で、こういう人々がまさに今「老害」となっている。

また、半沢直樹が奥さんの花の頭をポンポンとする場面が複数あるが、
頭を撫でるという行為は、子どもにするものであって、
このシーンには、やはり昭和的な、男性優位な思想が現れていて嫌な気分になる。

奥さん関係で言うと、奥さんの手料理のシーン(晩ごはん)が何度も映るが、異常に手の込んだ料理ばかりで、おかずが7品ぐらいあったりして、出来すぎている。こんな豪勢な晩飯を普通の人は食べてないよ、と思う。

また、半沢には実は息子が居ることが途中で明らかとなるが、このドラマでは息子は名前しか登場せず、息子の姿はおろか写真も、息子の部屋も、息子の服も、一瞬も映らない。
そのため、数話目で突如息子の名前が出たときはびっくりした。
「え?子どもいたの?」というおどろき。それほどまでに何も示唆するものがない。

ふつうの父親というのは、毎日夜遅く帰ってきても、息子の寝顔ぐらいみるだろうし、財布とか携帯とかに家族の写真でも入っていてもいいし、休日は家族サービスだってするだろう、そういう描写は一切なく、異常なまでに子どもの存在がカットされている。

このドラマには、生活感の描写に現実味が欠ける。

半沢直樹の父親としての側面描写は、意図的かつ徹底的に排除
されていて「このドラマでそこは邪魔なのだ」という演出・脚本家の悪意を感じた。

そういう演出方針なんだろうけど、
物語に厚みを持たせるためには、父を亡くした半沢直樹が自分が父親になった故の想いや葛藤があって叱るべきで、その欠如が、この物語を薄っぺらいものにしているのではないか?

そういうディテールを切って、色々な人物達との戦いに重きを置いている作品だという軸は感じたが、個人的にあんまり刺さらなかった。

滝藤賢一さんの病んでる演技は結構良かった。
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