過酷な状況を生き延びるために、強者に媚びて従うのか、弱者同士で連帯して戦うのか、その相克がテーマです。
主人公は尊法意識と倫理感が強く、弱者同士が連帯して戦う労働組合の活動に挺身しますが、何度も〝現実〟にはね返されます。そんな主人公の道標となる労働相談所の所長も、民主化運動で負ったトラウマに苦しめられています。
基本的な構図は〝善と悪〟ですが、〝善〟は〝偽善〟ではないのか?と何度も問われます。その問いの真摯さが、ドラマを予定調和に導くことを拒み、観ている者にも切実な問いとなって残ります。
心に刺さる名言がちりばめられた社会派ドラマでありながら、エンターテイメントとしても優れています。