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ちりとてちんのまのレビュー・感想・評価

ちりとてちん(2007年製作のドラマ)
4.8
驚いた。こんな傑作が朝ドラの中では、注目されずに留まっている。視聴率なんかは当てにならない抜群の面白さと緻密さ。落語がテーマのために若い人から敬遠されがちかもしれないけれど、いや絶対に、固定観念を捨ててみた方がいい作品。

まず導入。初週から泣いた泣いた。かわらけ投げのシーンは朝ドラ史上指折りの名シーンでは??
この作品の凄いところは、伏線のチラシ方、小浜と大阪で舞台を分けた物語の同時進行制、都度の出来事による落語の世界と現在の世界の結び付け、脚本家のユーモアセンス。
とにかく全ての出来事や場面が、その後の物語に必ず結びついていて、もしくは落語の世界と親和するようなかたちで浮かび上がってくる。
また、大阪で起こる事件は、小浜で起こる事件と同時進行的に発生していて、主人公や登場人物たちはその2つの舞台を行き来しながら、都度自ら進むべき道を判断していく。
この脚本の秀逸なことといったら。パズルのように計算されて作られている。そこが面白い。

そして、この物語は落語がテーマであるようで、実は若狭塗り箸も大きなテーマになっており、強いては落語や塗り箸問わず「伝統を継承するということ」が最も根幹の主題になっていると感じた。
さらには、人間関係でいえば、お爺ちゃんや師匠、落語の兄分たちとのやり取りがメインに見えるが、実は最初から最後まで「母と娘の物語」であったことに最終回で気付かされた。そして大号泣した。


貫地谷しほりがこんなに良い役者だとは知らなかったなぁ。そしてそして、大大大好きな和久井映見...。最高、最強のお母さん。この母あって、この娘あり、を体現していた。福井弁かわいくてかわいくて。
落語もすごく面白かった。師匠の愛宕山、泣ける。このドラマで本場の落語見てみたくなって、YouTubeでずっと見ている。

個人的朝ドラランキング、カーネーションに次いで2位!!
ま