しゅうへい

結婚できない男のしゅうへいのレビュー・感想・評価

結婚できない男(2006年製作のドラマ)
5.0
「僕は結婚できないんじゃない。結婚しないんだ!!」

建築家・桑野信介40歳、独身。家族の温かみが感じられる家作りで高い評価を受ける彼だが、素顔は偏屈で独善的、そして大の皮肉屋だった。事務所の助手・村上英治らはそんな彼の性格を熟知しサポートしていた。ある日、ひどい腹痛を起こした信介は、偶然居合わせた隣人の田村みちるに助けられ、救急車で病院に運ばれる。そこで当直医だった早坂夏美と出会うが…。

桑野信介は仕事の評価は高く、ルックスも悪くない。 しかし、皮肉屋で偏屈な性格から、女性や結婚に対して嫌悪感を示し、40歳になっても独身の「結婚できない男」であった。そんな男がとある女性達との出会いを契機に変化が訪れるのか?訪れないのか…?そんなコメディドラマ。

“絶妙なバランスで成り立つ関係性”
独身生活を謳歌する桑野がある日腹痛で倒れ、隣人のみちる、女医の早川に出会うことで物語は始まる。独身ならではの偏った食生活が招いた出会い。何度も偶然が重なり、度々関わることとなる面々。内心思う事と口に出す事が正反対な彼の不器用な言動が周囲にどう影響を与えるのか、それを周りがどう許容し付き合っていくのかが必見。「悪い人ではないんだろうけど…」が共通認識。

“魅力溢れる登場人物“
独身貴族な建築家、桑野信介。恋愛と距離を置いた内科医、早川夏美。何事にもポジティブな隣人、田村みちる。初めは顔見知り程度で、皆それっきりかと思われたが妙な縁が続き、距離が近づき、交友関係の輪が広まっていく。総じて言えることは桑野を中心に皆何かしら体調を崩しがち(笑)。桑野の部下・英治、古くからの仕事仲間・沢崎、みちるの愛犬・ケン等々、皆愛せるキャラクター。物語には直接関わりのないのにレギュラー出演、女たらしの建築家・金田の動向にも目が離せない!「お、金田更新してるぞ」

“ミニマルな世界観”
桑野とみちるが暮らすマンション、桑野建築事務所、中川総合病院、桑野行きつけのコンビニ、レンタルビデオ店、バー…など。基本的に桑野の生活範囲内で起こっている出来事。話の随所に繋がりはあるものの、一話完結がほとんどであり、シンプルで受け入れ易いのも特徴の一つ。至る所で小ネタが仕込まれており、程良い箸休めとなって視聴者を飽きさせない。

クスッと笑えて幸せな気持ちになれる最高のドラマ。桑野信介こそお独り様(男)の理想像。「結婚」がテーマなだけあって、適齢期を過ぎた人への風当たりの強さや女性陣の危機感が伝わる。20年近く前だとこの風潮が一般的なのか定かではないが、当時よりも明らかに独身への抵抗感が薄れてきてる。人は人、自分は自分、それでいい。

この土日、夏風邪を拗らせて家で齧り付いて観てました。家に篭って一気見してしまうと感覚が放送当時に戻ってしまう。母親とリアルタイムで観てから、かれこれ5周目。予算は極力抑えてるにも関わらず、この面白さ。多少は古臭さも感じるかも…。今だにこれを超える邦ドラに出会えていない。老若男女、自信を持って人にオススメできる作品です。

13年振りの続編が2019年に放送されましたが、桑野と英治を除くキャストが総入れ替え。期待値が大きかっただけに非常に退屈な出来だったのでオススメできません。あまりにも時間がかかり過ぎた。

大好きな作品は言葉でまとめるのが苦手なので、追記・添削に時間がかかります…。
しゅうへい

しゅうへい