ブレア

白夜行のブレアのレビュー・感想・評価

白夜行(2006年製作のドラマ)
4.3
この作品は自分の人生に最も強く刺さったものだと言っても過言ではない。
ただただ辛く、逃げ場のない物語なので、自分が一番辛かった頃の記憶を強く呼び覚ましてしまう作品なので、この作品を好きかと問われると非常に難しいのだけど。

雪穂と亮司は数多くの罪を重ねることで自分たちの未来の幸せをつかもうとする。なんて浅はかで無謀だろうと思う人も多いかもしれない。
けれど彼女たちは決して多くを望んでいたわけではない。
心から欲しかったものは、ごく平凡な日常だった。
周りの人間が当たり前のようにそれを手にしていて、その上それが特別なものだと気づきもせずにただ生きている。

平凡でささやかな幸せすら与えられず、子供の頃から残酷な決断を迫られていた彼女たちの心が、真っすぐ純粋に育つわけもなく。
それでも一筋の希望を信じて歩いていく。
その道が間違っているなんて、誰が彼女たちを責められただろう。

ある日、自首することを決めた二人は教会へ向かう。
教会の像の前で雪穂はロウソクをなぎ倒し泣きながら
「神の前には皆平等とか。信ずるものは救われるとか。求めよさらばえられんとか。嘘ばっかついてんじゃないわよ。」と教会の中を破壊するシーンは何度見ても涙がこぼれる。

彼女たち同様、なにが正しいかなんて言われなくてもわかってる。
悪い事だって言われなくてもわかってる。
それでも幸せになって欲しいと強く願ってしまう。
ブレア

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