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グッド・オーメンズ シーズン2の鑑賞者のネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

みんなの評価がめちゃんこ高い。けど、僕は正直かなりがっかりした。(ユーモアや俳優陣の演技に関しては大満足。シーズンの切り方も珍しくて良かった。)
みんながこのシリーズに求めてるものと僕が求めてるものの乖離がここではっきりした。墨はキリスト教(特に旧約とかの非道徳的なお話)のIFストーリーとしてこの作品を高く評価してたんだけど、どうやらみんなはクィアロマンティック作品として観てたらしい。アジクロてぇてぇだそう。
ここでもジェンダー論かぁ、という感じ。別にジェンダー論自体を否定する意図は一切ない。むしろその価値や重要性は強く認識してるつもり。でも、ニール・ゲイマンに求められてるのはジェンダー論ではなくね?って話よ。彼の本領は宗教や神話の再構築でしょ?天使と悪魔の話なのに、なんで人間的なロマンスを持ち込むかなぁ。人間的な諸関係には当てはまらない、何とも表現しがたい彼らの関係性にくすぐったい面白さがあるってのに。(表現しがたさの原因が2人の超人間性にあるのであって、ロマンスのクィア性にあるのではないということ。)(単純に僕が間違ったものを求めてる可能性もある。)
だから、今シーズンの筋がキリスト教世界と本質的な関係をもたないものになってしまってるのも非常に残念。S1がもっていた知的好奇心の喚起力がほとんど失われてしまっている。

【追記】
とは言え、クィアロマンスとして見なきゃいけない必然性は無いなと思い返した。クローリーの最後の振る舞いは人間界のフィクションに影響されただけであって、別にそこには何の“人間的な”恋愛感情も無いというわけ。この見方が成り立つなら文句はないし、そう見ることにする。

P.S.
海外ドラマ初心者(またはキリスト教初学者)は手始めに今作のS1を視聴されることを極めて強く勧めます。
鑑賞者

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