とらも

オレンジ・イズ・ニュー・ブラック シーズン6のとらものレビュー・感想・評価

4.8
一気見しようと予定調整して金曜の16時を待ち構えてたのだけど、1話目でなんかつまんないなぁと萎えて惰性でパクパクみてた

けど見終わると一番好きなシーズンという気もする。
このドラマで、シーズンとしてもう一度見ようかなと思えた初めてのシーズンではある

今シーズンは今までの主要キャラ5,6人に絞って重警備でのそれぞれの物語を13話かけて語っている
Cブロック、Dブロック、(フロリダ)という三つ巴の配置でそれぞれのトップ同士の怨念とその抗争がメインプロット。サブプロットで暴動後のそれぞれの物語が展開されていく形で捉えた。お話の構造が今までで一番ソリッドだった。

最後に全てが繋がっていって気持ちいいぜーというタイプの群像劇ではないけどゆるーく繋がって最後に一応オチはあるくらいの感じだろうか

5シーズン分積み重ねてきた主要キャラの回想シーンの厚みは効いてて段々と掴まれたかな

このドラマ見てる友達の間ではパイパーの評判があまり良くないのだが
個人的にはパイパーが主人公としてかなり好き
今後パイパーが政治的活動を刑務所の外で展開するだろうというのはシーズン4あたりからなんとなく予想できていた
その前にパイパーが刑務所のためにやったあることの結果がわかるラストシーンは凄く些細なことでもあるんだけど希望が持てるなぁと嬉しかったかな

逆にヴァウスが僕はあまり好きではなかったのだけど今シーズンで好きになれました。パイパーとヴァウスの恋愛が単なる依存や温もりだけでなくお互いの将来にプラスになり人生を良くするための関係に昇華された気がした

このドラマはシーズン3,4あたりからカプートが裏主人公で、というかぶっちゃけ主人公だと思ってて今シーズンも頑張ってましたね
(このドラマが社会の正義を求めるお話であると明確になってから社会を変えるためにフルスペックの人権を駆使して正義を追求しようとしてるポジションがカプートしかいない。パイパーもシーズン1から色々頑張ってるしテイスティは今シーズン命がけで闘ってるが二人とも囚人だから移動の自由もなく正義の実現のためには構造的にカプートの善意に依存せざるを得ない)

シーズン7はテイスティの救済をめぐるパイパーとカプートのバディものにならねぇかなと妄想。パイパーとカプートが好きな人間としては楽しみ。
(刑務所の女同士の関係、男看守と女囚人、男性中心的な社会で生きる女たちの犯罪など、フェミニズム的な視点から語りうることの多いこのドラマだけど、社会正義のための権力闘争は主に男のカプートがパターナリスティックに戦っていた。戦わざるをえなかった。けど来シーズンはパイパーが外から闘えるわけである。来シーズン、お話は大きく転換するはず。フェミニズム的物語として、パイパーとカプートの関係やら、正義を求めた闘争の仕方の違いやら、楽しみだ。)





(出獄は、トランスの彼女と、妊活してた彼女と、パイパーの三人だっけか。そいえば最後の最後で移民局まで風呂敷が広がってたな。トランプ政権の現在アメリカで先月くらいから旬の問題にまたなってるね。テイスティはBlack Lives Matter運動も噛んできてるし、トランスの彼女も出獄しててLGBT差別の話もあるし、移民問題あるし、フェミニズムだし。トランプ師匠というコモンエネミーのおかげでお話にまとまりがでましたね。ただこれらがこの現実社会の問題として解決されるのは遠いのはもちろんだけど物語の中でも解決は遠そう…。マイノリティよ連帯せよって感じだろうけど、そうなると白人教養層のパイパーと白人男性のカプートが主体者として物語が展開されていくってのは面白い。どう折り合いをつけ闘っていくのか。彼らが黒人や性的少数者や移民や貧困の代弁をしていいのか、エスタブリッシュメントの知をベースに闘って答えは出るのか。来年の今頃は2020大統領選のための前哨戦、党候補指名選挙が始まるくらいかな。OITNBはともかく現実政治は、アイデンティティ政治で連帯しようぜのヒラリー路線でなく上と下の闘争(資本と貧困)で全ての問題を一義的に捉えようぜというサンダースの路線であるべきと思うんだよな。)
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