ルーク大佐

バビロン・ベルリン シーズン1のルーク大佐のレビュー・感想・評価

4.3
欧米ドラマファンとして今まで見過ごしていた圧倒的な傑作に出合ったかもしれない。ドイツのドラマ史上最高レベルの制作費というのだから綿密な時代考証もしていることだろう。まずはシーズン3まで一気見する。

ドイツは第一次大戦で敗者となり巨額の賠償金を背負った。
1920年代ワイマール共和国体制のドイツが舞台の映画やドラマにはあまり接したことがないので、当時のカルチャーやファッション、庶民生活に魅せられる。

そのベルリンの退廃した空気のなかで大衆文化が育ち、中流階級のロマンシズムが妖しくまぶしい程の魅力を放っている。ナイトクラブ・モカ・エフティのダンスシーンや男装シンガーのセクシャルなステージなど魅力満載だ。特に主題歌はどこか空想的でメルヘンチックな雰囲気を醸し出す名曲だね。何度もYouTubeで聴いている。

ベルリンでは、ドイツ再興を企む右翼の軍事組織「黒い国防軍」や共産主義者、反スターリン主義者、そして秘密工作員などが入り乱れ、ドス黒い陰謀が背後で進んでいる。

登場人物のだれもが闇深く罪深い雰囲気を漂わせ、自分たちの願望をかなえるためにガツガツっと動き回る。そのバイタリティは大したもんだ。

主役ラート警部や助手シャルロッテの捜査はスリリングだし、街の顔役アルメニア人ギャングボスとの確執は今後どうなるのか。
異次元的な色彩を放つストーリーの続きが楽しみだ。
ルーク大佐

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