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ベター・コール・ソウル シーズン6のmのレビュー・感想・評価

5.0
遂に「ブレイキング・バッド」を超えて、口の達者な男の物語は現代の新たなる神話へと昇華された。永遠の名作。
ソウルは面白いキャラではあるけど、口の達者な小悪党という印象ではあって、正直彼が主役では「ブレイキング〜」を超えられないのではと思っていた。しかし『滑りのジミー』から良い弁護士を目指したジミーがソウルという小悪党弁護士になり、また別の名前になった彼が最終的に何を選択するのか・・というこの長い物語で、「ブレイキング〜」も含めたアルバカーキの人々の人生が見事に収束して、普遍性のある罪と罰、そして人生の後悔と償いの物語へと一気に昇華された。これは本当に凄い作品だった・・・

俳優陣の名演(キム役のレイ・シーホーン素晴らしいな)、脚本と演出の観客を信じた深さと的確さと凄まじいクオリティの高さ、そしてモノクロ撮影の美しさ。

予想外の事態の急展開共に、遂に諸々の決着が付7・8話を経て、その後始末を描く9話。お馴染みの脇役達がゆっくりと迎える美しく切ない場面の末に、主人公達にやってくるマジで最高な心の地獄に刮目した。これは本当に素晴らしい。
未知の時間軸で起こる予想外の超絶地味サスペンスを的確に紡いだ10話も良かった。本当にチンケで地味な出来事なのに、演出の的確さでサスペンス性がひたすら高い。
11話、遂にブレイキング・バッド。ゆっくりと確実に破滅へと近付いていく道行。しみじみと良い。
12話。静かに積み重なっていく名シーンと共に見えてきた物語の終着点。胸が張り裂けそうなバスの中のシーン。本当に素晴らしいな・・・

そして最終話。これは永遠の名作になったな・・・
「ブレイキング・バッド」と「エルカミーノ ブレイキング・バッドTHE MOVIE」でウォルターとジェシーがそれぞれ辿り着いた結末を見れば、ソウルが辿り着く結末は自ずと予想がつく。絶対にこうなるべきだった所に完璧に辿り着くクライマックスを経て、その先にある2つのエピローグ、何かもう人生というものを考えてしまう。ラスト、もう往年の名作だった。ラストカットが終わり暗転した瞬間に『うわああ』と叫んでしまった。ドラマ史に残る大傑作。
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