エリザベス女王が崩御し、ロシアとウクライナとの戦争が始まり、イギリスによる圧政の歴史を描いた超大作『RRR』が大ヒットしたタイミングで公開されたザ・クラウン シーズン5、作中における世界情勢への言及を覗かせる発言は明らかに意図したものがあると思う。
シーズン4から描かれたエリザベス女王時代の英国王室で最も世間を騒がせたスキャンダルであるダイアナとチャールズの離婚。王室には無断でBBCの独占インタビューに応じて結婚生活にトドメを指すも、エリザベス女王が今まで隠してきたダイアナへの愛情を明かす。あそこまで事態が複雑になる前にもっと介入すればよかったじゃんと言われてしまえばそれまでだけど、王室の結婚生活というのは一般人のそれとは意味も影響力も段違い。ダイアナとチャールズの離婚が決定する9話では彼らの他に一般市民の離婚調停にも焦点が当てられるのは上手いなと思った。意味も影響力も違うのに、離婚調停はごくごく一般的に行われるという皮肉めいたものになっている。
