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ストレンジャー・シングス 未知の世界 シーズン3のTのレビュー・感想・評価

5.0
3.4ガチで面白すぎて、感想書く暇なく続きを見てしまったので、ガチで描きます。

前シーズンで異世界とつながっていた実験施設は破壊されて閉鎖されたはずなんだけど、実は化け物が一匹まだ残っていて、ふたたび町に危機が迫る、というストーリー。まあ、順当な当たり前なお話で特筆すべきところはないんだけど、それをどういうシチュエーションで描き、それぞれの登場人物にどのような役割を与えるかというところがみどころかな。

おおきなモチーフとしては、ソ連共産主義の脅威があって、そのものズバリのソ連の秘密基地とか、人が化け物に精神を乗っ取られて操られるという1951年版の「遊星よりの物体X」とか、「SF/ボディ・スナッチャー」があるみたい。

ソ連が黒幕とかの話はもうかつての定番で、ソ連が崩壊した今となっては古びた感じを否めない…と思いきや、レトロフィーチャーな本作ではむしろ悪役としてのソ連自体がひとつのネタとして楽しまれています。このへんの雰囲気がなかなかよくて、とくに最初の数話は舞台になっている1980年代の再現度がかなり高くてそういう面でも楽しめます。でも、ソ連とか共産主義とかレトロっぷりはあくまで添えで、別に知らなくてもかまわない要素。

それから敵役の人はターミネーターを意識してるん?

ただ、80年をそのまま再現してるわけではなくて、ロビンとスティーブの関係とか、新聞社でまともに相手にされないナンシーとか、マイノリティやパワハラに関するものも意図的に入れられているみたい。

ストレンジャー・シングスはあからさまに、オリジナリティを出すことに拘らず過去の再現を狙って作っている気がする。そして、全体に気遣いが行き届いているというか、熱量が感じられるし、成功していると思う。

それにどこかで見たようなモチーフや設定の寄せ集めであっても、作っているうちに作者の個性は否応なく出てくるもの。いろんなネタもパクリではなくオマージュとして消化することでストレンジャー・シングスはなんだかんだでオリジナルなドラマになってると思います。

シーズン3になってさらにのりが良くなって、キャラが立ってきて行動に勢いが増している気がする。それが時々悪ノリに感じられるところもあるんだけど、全体的に安定感があってシーズン通して楽しく見ていられる。

安定感というのは、物語のトーンというか主人公たちが遭遇する危機の質にもあって、シーズン1、2で時折見られた深刻さはかなり鳴りを潜めて、よりコミカルな雰囲気に。

物語の続き方としては、シーズン2終了からそれほど間をおいていない。子どもたちのすこやかな成長ぶりにおどろきます。とくに主人公のマイク役のフィン・ヴォルフハルトは背が伸びたね。もうひとりの主人公、エルも大人っぽくなっている。
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