淡々と話す殺人鬼に、時に親しみさえ覚える。
その間合いを守ることがどれだけ大切で
その間合いを詰めることがどれだけ恐ろしいことか。
観てる最中は怖くない。
だけどスッと心が凪いだ瞬間に彼らの話が、
彼らの表情が心を掠める。それがとても怖い。
演技だ、演技だとはわかってても不気味で
主導権を握りきれない不安があって
嫌な空気がねっとりと絡みついてくる。
無意識下で線引きをしたいと望んでて、
一見ではそれをするのが難しくて、
それでも探ろうと深みにはまっていく。
いっそ取り乱して狼狽えて
威嚇してきてくれたらわかりやすい。
人として侵してはいけない領域に
入ってしまった彼らと自分たちとの境界線は
あると思い込んでいただけで
本当はあまりにも曖昧。
過去の行動を除いてあの空間だけを
切り取れば区別をつけることは難しい。
それでも、自分を守るためにも、
線の位置を見極めなければ。
気づけばそこは線の中かもしれない。
