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BOSCH / ボッシュ シーズン4のStroszekのネタバレレビュー・内容・結末

BOSCH / ボッシュ シーズン4(2018年製作のドラマ)
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このレビューはネタバレを含みます

原作は1999年に発表されたマイケル・コナリーの同名小説。英語版Wikipediaに掲載されていた同小説のプロットを見る限り、かなり登場人物や筋が変えられている。

シーズン4で描かれる事件は主に以下の通り。

1. L.A. にあるケーブルカー、エンジェルズ・フライトで発生した人権派弁護士ハワード・エライアスの殺人事件
2. ボッシュの元妻エレノア・ウィッシュの銃殺事件
3. KTK(Korean Town Killer)の事故死
4. 市議ブラッドリー・ウォーカーによる、ボッシュの母親マージョリー・ロウ殺害の自白

シーズン3終盤で母親を殺したのがウォーカーだと知ったボッシュは、その3ヶ月後に設定された本シリーズで、ウォーカーをストーキングして探っている。その際に、彼の親としての顔が垣間見える。電話で張り込みをしながら娘のマディの電話に出るのだが、「晩御飯は冷蔵庫に寿司が入ってる」と答えてすぐ切る。その後、マディは母のエレノアに電話するが、彼女はポーカー会場でFBIに委託された仕事中のため出ないで切る。その後、マディは義理の父親のレジーに電話するが、彼も中国政府かマフィアの監視下にあるため出てもすぐ切る。先ほどボッシュが一応娘の晩御飯もちゃんと用意していたのは、彼女の3人の親の中でかなりマシなほうなのだと分かる導入部。

ボッシュの娘マディは18歳で、大学進学の時期である。たまにはテイクアウトの食事を用意してボッシュを待ってたりする。

エレノアはレジー・ウーと別れ、L.A.に滞在している。FBIエージェントとして暮らすが、レジーと別れたのも、彼の親族(家業はマフィア)をスパイしていると思われたからである。アメリカと中国の緊張関係が垣間見える作劇。

エンジェルズ・フライト事件で警察内の裏切り者だったのは白人男性だったが、本シリーズでは黒人女性に変えられている。ドラマシリーズとしての『BOSCH』は割と警察内部の女性の描き方が厳しめだ。しかし、ビレット警部補という「理解のある彼くん」的な女性上司や、ハニー・チャンドラーという有能な女性弁護士も描いているので、プロフェッショナルな立場の女性たちに対する蔑視的な目線があるわけではない。

以下、シーズン4でエモ散らかしてると感じた下り。

エレノア・ウィッシュの銃殺事件が衝撃的だが、その直前にエレノアはレジーとの別れについて娘にどう話すべきかボッシュに相談している。その際に、「まだレジーを愛してるの」と言う。ボッシュはまだエレノアに未練があるらしく、少し傷ついた表情をする。

エレノアがバイクに乗った二人組に銃殺されたあと、ボッシュは彼女の借家の後始末に向かうのだが、そこには自分の写真は一枚もなく、レジーとマディとエレノアの写真だけが飾られている。彼女の心の中に自分はいなかったのか、とボッシュは考えたことだろう。

その後、エレノアの財産相続手続きで彼女の貸金庫を開けたマディは、イラク戦争に出征する直前のボッシュの写真と、彼との結婚での結婚指輪を発見する。ボッシュの自宅で金庫の中身を検分しているときに、出征前に3人で行ったピクニックの思い出の品が出てくる。ここで、ボッシュはエレノアの心の中にちゃんと自分の居場所があったことが分かったと思う。

言葉では説明されないが、描写の積み重ねでボッシュと元妻エレノアの関係性が垣間見えた。

ボッシュとエレノアが別れたのがマディが3〜4歳くらいのときだったとして(イラク戦争は2003年開始)、ボッシュの従軍中にレジーとエレノアは付き合い始めたのだろうか。シリーズ1が始まったときマディは14、5歳くらいだったので、それから10年くらいはステップファミリーとして一緒に暮らしていたということか。マディとレジーの結びつきが強い理由が分かった。

しかしマディはレジーのことは「お父さん」とは呼ばず名前で呼ぶ。エレノアに一緒に暮らすよう言われた際も、「お父さんと暮らす。お母さんにはレジーがいるでしょう」と答えてるので、ボッシュも娘の優しさに感動したことだろう。

レジーがそばにいなくてもエレノアと一緒には暮らさなかったので、ボッシュは女性関係のケジメはしっかりしてるな、と思った。
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