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黒い樹海(2016年版)のnorisのレビュー・感想・評価

黒い樹海(2016年版)(2016年製作のドラマ)
3.2
1997年の水野真紀版(というか神田正輝版)を2年ほど前に見ているが、神田が犯人であること以外、まるで覚えていなかった。本作は2016年の北川景子版で、小池栄子とまるで似ていない姉妹という設定になっている(菊川怜と藤谷美紀、水野真紀と余貴美子、中井貴惠と金沢碧、叶順子と水木麗子など、過去作の姉妹も微妙なのだが)。映像化として最新版であり、原作に忠実だから決定版と言えるかもしれない(ただし現代に置き換えられているので原作の味わいは損なわれている)。

本作の良いところは、神田正輝のようないかにもすぐ犯人とわかる人がいないことだろう。ヒロインの味方の向井理ですら疑わしい疑心暗鬼の演出で、新聞社文化部記者だった小池が生前原稿を依頼していた文化人たち(小児科医、経済評論家、ファッションデザイナー、洋画家)がいかにも怪しげな容疑者として描写され、視聴者を煙に巻く仕掛けである。このへんの面白さは原作通りで、じつは複数の人物(途中で殺された人も含む)が事件に絡んでいた事情があったことがクライマックスで明かされるのだが、違和感ないようにできていた。

北川の演技はソツがないのだが、やはり小池(6歳年上)と姉妹という設定が自然でないことが惜しまれる。原作の意図は、死んだ姉の秘密を妹が追うことに意味があるものと思われるからだ。
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