Ayumi

セックス・エデュケーション シーズン3のAyumiのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます


シーズン2で株が大暴落したオーティスだったが、今シーズンでは完全復活した模様!メイヴの母親問題、エイミーとの関係、ジーンとヤコブ、ムーアデイルの校則問題とあらゆる問題に目配りし、かつおしゃれに仕上げてきたのは最高だった。

大きなテーマだと感じたのは、アダム父(マイケル)とヤコブがそれぞれ抱える「感情を表に出せない男性性」についての問題提起だった。アダム父は家庭やムーアデイルで強く振る舞い、弱いものを押さえつけてきたわけだけど、一転すべてを失ってから自分の過去に向き合い始める。子ども時代に優しかった母親と、ことあるごとにいじめてきた父親と兄。感情を示すことは弱さだと学んでしまい、そのまま大人になった。だけど泣いたり、モーリーンに自分の考えを伝えたりできるようになり、本当によかった。

ヤコブは、たまたま一人になってしまったセラピーで、亡くなった元妻が不倫していたことを告白する。セラピストが"When did you grieve?"と尋ねていたことが印象的だった。「ドライブ・マイ・カー」でも主題になっていた「正しく傷つく」がテーマなんだよね。

もう一つの大きなテーマはムーアデイルの教育問題。新たに赴任した校長のホープは、男女別の性教育を取り入れ、女子には「避妊しない性行為は避けよう」と教える。「これは男子の授業でも教えているのか?」と反論するメイヴが素晴らしいと思う。ここでやっているのは「寝た子は起こさない」という日本的な性教育。そうではなくて、セックスはやり方によっては素晴らしくなりうるものであって、どうやったら望まない妊娠や感染症を避けることができるのか、を教えるのが本来の教育のあり方と思う。

メイヴは家庭環境のせいで、うまく人を頼れないという性格で、それがエイミーとの喧嘩につながるのが切ないんだけど、二人の友情がまた強くなってよかったな。ジーンがエイミーのセラピーをするのだけど、その言葉が冷静で温かくて、こうやって若い世代をきちんと支えられる大人になりたいと思った。
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