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トゥルー・ディテクティブ ナイト・カントリーのgeminidoorsのレビュー・感想・評価

4.4
我が家にしては怒涛の如く観た。トゥルー刑事シリーズだからネ。あまりに観たくてサ!
とは云え3話づつ。それ位が眼精疲労的にもこちとら限界なんざんす。

感想を無難に云えば"面白かった"と成る。
厳しく云えば(他の方が言われている通りシーズン1の出来が良過ぎてか)本筋の事件に於ける関係図や所以等がパワー不足が否めない。
併し、対して題名が示す(シーズン1からの構図継承でもある)主たる2人の刑事の関係性や、それぞれが"抱えた過去からの闇"等の謂わば或る昇華(この表現が正しいかはワカラナイけれど)や、逆に"どうにもならなさ"は…
うーむ…。
よくぞ全6話という短さで表せたもんだナ!と感じたヨ。(それこそがトゥルー刑事シリーズの碁盤布石みたいなもんだからネ!)
だからマァ…畳み込み感は否めないかなぁ…

畳み込んだ分、本作に於いては影や闇の部分の裏付けに性急さが感じられても仕方ないのかナとも思った。
併しその様な見方も(やはりシーズン1.と比較してしまっているのかも知れない)観る側の勝手な"ファンの厳しさ"があるからかも知れないけれど。
だから、もっと回数を増やして掘り下げるのが可能な御話でもあったーと言えよう。



具体的に良かったナァと感じる点はー
1.極北のアラスカ氷原に於ける舞台がとても新鮮だった。
2.ジョディ・フォスター女史の健在を久々に感じる事が出来た。
3.元世界チャンピオンの女ボクサーであったカーリー・レイスを初めて知った。
彼女の眼光の鋭さは、長く闘ってきた者だけが保つ筋金入りで、一人歩く姿や喧嘩のシーンでは決して一朝一夕で備わるポーズ演技じゃない存在感がかなり感じられた。
彼女には魅入らせて頂いた。
4.多々脇役の出演者達が、総じてかなり存在感があった。
ジョン・ホークスが脇で曲者を静かに演じたら上手いのはよく知っていたが、劇中の出逢い系サイトで約束した女性が現れない空港シーンでは、なんだかトーンがミランダ・ジュライ監督の香りすら感じられてついつい笑ってしまった。

ワタシ的には3.で書いたレイス演じる"ナヴァロ"のセフレ?役(パブのマスター)が、雰囲気は"ビューティフル・デイ"でホアキン・F.が演じた(帰還兵)殺し屋を彷彿とさせる風貌ながら、丸で違う何処となく達観した(又は抜け作な?)素敵な役柄!演技も上手いし記憶に刻まれた。

対してある意味で残念だった点はー
1.事件の種明かしを最終話の終盤に畳み込んできた訳だが、解りにくさを回避する為かしらん、台詞等により説明的に成ってしまい全体の重さがトーンダウンした。
2.謎の鍵となる印や白熊や他の所謂シンボルが、人智の届かぬ太古からの教えでもあって欲しいストーリーながら、あくまでプリミティブなイメージ止まりで軽い。
3.実は手を下したのは…の謎解き明かしネック部分がカメラワークも演出も演劇的なトーンと成り、パワーダウン。
ならば、最終局で2人の刑事が立ち去った後の所謂犯人らの生活場面を走馬燈ぽく映して欲しかった。
"それでも進めなくてはならない生活"を、夜空の星々の如く映せばこそ、物語りの主人公や社会との対比が立ち上がったのではないか…



暗闇が深いほど、蝋燭の小さく揺れる灯が引き立ち、対比や振幅は物語りに有効だ。

創られた物語りの中では、完全なる闇も完全なる光は描かなくとも、どちらかが強ければそれだけもう片方のバランスをどう表す(現す)かで作品の匂い(香り)は大きく変わる筈だろう。
それは私たちニンゲンに於いて鑑みても同じだろう。闇や負に対し、どうカバーしてゆくかでその者の匂い(臭い?臭み?)は変わる。

或るパワーや宿命を背負う様な作品で、謎解き的なオチに於いてあまり説明はしてくれなくてもいいし、結論付けてくれなくていい。
そうしないと広い世代に受け入れられないから、中庸や無難を選択するのなら、それはそれでソレ位の作品留まりに成ってしまう。

台詞やテロップなんかで説明しない。
だからこそ或る重さのまま、物語の中からジワジワと滲み出して観ているコチラ側まで染みてくる。
そんな作品を作って欲しいといつも思うのだ。

ソレは円環するが如く。
総ては繋がっているのだから…
まるで本作で度々現れた🌀マークの様に。


いずれにせよ、シーズン5にも期待する。
誰が作ろうが演じようが必ず観るだろう。
それ位にシーズン1の何かが響いたのだろう。
余談としてー
どうだろう…個人的な好みたっぷりな願望として、次回5はマティアス・スーナールツとエリック・バナ辺りでタッグを組ませてみては!
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