茸のうち

TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブの茸のうちのネタバレレビュー・内容・結末

4.9

このレビューはネタバレを含みます

お腹一杯の実質8時間の映画でした!
もっと早く見ておけば良かったと鑑賞中に終始思ってた。随所で言われてるけど猟奇殺人と退廃的な空気が、完全にデヴィッド・フィンチャーのそれなんですよね。明らかに『セブン』『ゾディアック』『ドラゴンタトゥーの女』あたりは踏襲されてるし、今思えば逆に『マインドハンター』はこれがあっての作品だなと思いました。フィンチャー好きの人は1話冒頭の事件現場シーンから脳汁ダラダラだと思います笑

この作品の凄いところは捜査が実を結ぶまでの過程がこれでもかってくらいに丁寧に描かれていて、一見地味なのに退屈しないところ。今まで時代も場所もバラバラだった手掛かりがだんだんと線になって繋がっていくのが気持ちいい。しかも、今作はいわゆる猟奇殺人ものの中でも、犯行が限りなく邪悪かつ大規模。悪魔崇拝カルトに、カトリック教会の性的虐待、公権力汚職、猟奇殺人とか欲張りセット過ぎて一歩間違えればチープになっちゃうのに安っぽさは一切ないのがしゅごい...
時間の使い方も見事で、聴取回想の最初の事件の90年代と、仲違いの00年代、現在の事件が見事に繋がっていく脚本は鮮やか。

ミステリー的な部分だけじゃなくてバディムービーとしての人間ドラマも上質。情熱的な人間らしさ担当のハートと、奇人で冷静なブレインのコールはまさに凸凹コンビって感じだけど、互いに口には出さない信頼が見えるのがたまらん。それでいて最後の最後に、いままで一切感情出してこなかったコールが唯一無二の友の前で、家族の愛を語って泣くんですよね。ずるいよあんなん泣く。

キャリー・ジョージ・フクナガが『ブレイキング・バッド』最終シーズン抑えてこれでエミー賞取ったのも納得。個人的にはサスペンスものでこれ超える作品当分出てこないと思っちゃう。フィンチャーの代わりにストップしてる『マインドハンター』の続きお任せしたいくらい。007も楽しみだなぁ。

最後までカルトの詳しい実態やタトル一族の闇が完全に描かれなかったのでマイナス0.1.でも限りなく満点に近い4.9.
どうせならSeason2もこの続きやってほしかった。

あとこれだけ雰囲気ある作品なのに、日本語パッケージダサすぎてかわいそうだからfilmarksのジャケット変えてほしい。タイトルデザイン賞取ってるのになんじゃこれ笑
茸のうち

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