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マイ・ディア・ミスター ~私のおじさん~のnileのレビュー・感想・評価

5.0
同じ脚本家の『私の解放日誌』が大好きで観ようとずっと思っていてやっと観終わった。

会社の派閥争いに勘違いから巻きこまれたドンフンだが、そこから不倫や派遣社員で謎の女性イ・ジアンとの奇妙な関わりや兄弟や地元の友達との交流を通して、疲れた色々なことを諦めてきた人生を鼓舞する物語が描かれていく。韓国ドラマ特有の軽快なギャグは最低限に抑えられて、パク・ヘヨンらしいハートフルなセリフのパンチラインが心地良い。

ヘラヘラしていて頼りないけど皆の緩衝材になる長男サンフン、物言いは厳しいがなんだかんだで頼りがいのある三男ギフン、変な兄と弟に挟まれて誰よりも堅実に生きる次男のドンフン。この3人が居合わせたときに場が盛り上がる数々の場面が凄く良い。物語の主軸は苦労をしてきたジアンとドンフンの二人が年齢や立場を越えて少し奇妙な距離感で励まし合うわけだけど、ジアンが会社の後輩としてドンフンの地元の友達や兄弟に紹介されてから少しずつ彼女の顔が明るくなり始めていく。皆失敗して泣いて諦めて傷だらけになった人生だけど、悲観せずに今を楽しんでいる。そんな様子を見て、早く年齢を重ねれば自分も辛かった若い頃を笑えるかもと切なげに語るジアン。共に人生を生き抜く仲間としてジアンを優しく迎い入れ、経験を重ねてきたおじさんおばさんが妹のようにジアンを気にかける姿には思わず泣いてしまう。
別に自分は人生を悲観しているわけではないが、親戚が家族の行事で集まったときに皆が決して同じ人生を歩んでいるわけではないのに共通して抱える悩みや問題をポロポロ吐き出しては笑い飛ばすあの暖かい光景をどうしても思い出さずにはいられない。
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