EnzoUkai

新米刑事モース ~オックスフォード事件簿~ シーズン1のEnzoUkaiのレビュー・感想・評価

4.5
もうずっと書こう書こうと思いつつ先送りにしてたレビュー。レビューと言うよりは、もし見る機会があるなら是非見て貰いたいドラマ。WOWOWで放送されているうちにオススメしておこうと思う。
現在WOWOWでは36話全作品が並んでいる。ただ、このシリーズは元ネタがあって、イギリスで人気を博したシリーズ『主任警部モース』のいわゆるスピンオフ物である。私は残念ながらそのシリーズを見たことがなく、かなり切望してるところだ。元ネタの『主任警部モース』は1980年代からの放送で、この『刑事モース』シリーズは2010年代に入ってからのもの。つい去年完結した。後に製作されたシリーズでありながら、時間は『主任警部モース』に遡るもので、その刑事モースが新米刑事の頃から経験を積んでいくドラマなのだ。
一話がおよそ90分。36話は本当に見応えがあり、昨年このシリーズを見ていた期間は実のところほとんど映画を見なかった。映画一本分の満足度があり、これを見てしまうと映画を見る気も失せる感じでもあった。
だから、あまりシネフィルのご同輩たちには毒になる可能性もあるかなとも思いつつ、それでもNetflixとかで数多くのドラマをご覧になっていることもあるやと思うので是非紹介させてください。

舞台は1960年代後半のイギリスの文京地区オックスフォード。
時代も場所も本当に素晴らしく、当時のイギリスの風情が見ていてとても心地良い。
ドラマはオーソドックスなサスペンスもので、もう殺人一色。そんな小さな街で人が殺されすぎやろ!って突っ込みたくなるのだが、それを補ってあまりある人間ドラマ。イギリスの風情と書いたが、当時の世相もうまく反映していて、もう本当「不適切にもほどがある」イギリスの世相がよく描かれてる。現代では通用しない常識なんかがまかり通ってる時代は見ていて飽きない。飽きないと言えばファッションや風俗も本当見ていて飽きない。こうしたものも面白さの要素になっている。
ドラマで展開する謎解きはもうほぼ分からないくらいに複雑で、一度見ただけじゃ到底理解できないけど、それがまた繰り返し見たくなる。もちろん繰り返し見ては楽しんでる。
シリーズそのものは10年以上に渡って続いているから、ドラマの時間軸もそれなりに進行して、登場人物たちの経年の変化もとても楽しめる。
そして、何よりもこのドラマの最大の魅力は主人公モースのキャラクターである。ドラマの原題は『Endeavour』。彼のファミリーネームなのである。正に絵に描いたような主人公。
オックスフォード大出身の天才でありながら、かなりの偏屈もの。若くて好青年に見えるが、何か暗い影が付き纏う。成功も失敗も描かれて、非常に魅力的な人間像が作られてる。

この愛すべきドラマを一人でも多くの人に見て貰いたい。
WOWOWでしか見られないから、もしWOWOW加入してる方は騙されたと思って見てみて!
ただ、映画見る時間がなくなるよ(笑)
EnzoUkai

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