いつの時代もこの物語は、「今」を描いているのだと思うだろう。
そして「今」この時代も例外ではない。
小説にも感じたことで、どれだけ日常がこれとかけ離れていると思おうと、それがこの物語の世界に転がり落ちることがどれほど容易なことなのかが描かれている。
この物語の世界の根っこの火種を、「今」の社会が持っている限り。
小説版よりも、ジューンの周囲の人物描写が際立っていて、映像作品としての立体感を生み出している。
特にモイラ、ニック、リタ、そしてリディア小母の解釈が素晴らしい。
小説版と比べながら見ると、1980年代版のジューンが、あれでもいかに80年代の女性を取り囲む環境の中で生きていたかわかる。今作のジューンは、自分の感情・決定について、他人の目を恐れないキャラクターになっている。
ケイト・モスは、マッドメンといい、アメリカ最高峰のドラマで魅せ続けている存在感には圧倒される。