Kaji

ある春の夜にのKajiのレビュー・感想・評価

ある春の夜に(2019年製作のドラマ)
4.1
もうとんでもなく面白いドラマがどんどん出てくる韓国ドラマ界で影が薄くなってるけど、ビタースウィートな名作じゃなかろうか。

チョンヘインの「年下彼氏」的な謳い文句でこのドラマもそうカテゴライズされるけれども、内容は父権やべき論で他者の幸せを型に嵌めて定義してくる奴や、社会的成功者の顔したクズが悉く「さよなら」される。
 
なおかつ、不利な立場の女性やシングルファーザーが自分や世間体やバイアスが閉じ込めていた「もともとあった選択肢」を再発見したり再構築して、殻や型の呪縛をほどき精神的自由を得る物語だった。

そんじょそこらの「お乗り換えメロドラマ」ではないよ!
メロドラマの形を使って、相手を尊重する大切さと利己的・自己中心的な狡さをキャラクター全員に含ませて心理描写した繊細なドラマだと思う。
キャラクターの敵がいつも内面にも潜んでいて、いろんな葛藤が描かれるので地味で抑揚がないけれど、含蓄が深かった。

ハンジミンもチョンヘインも今や社会派の作品を選んでいる印象がある俳優なので、作品の意図と自分のソーシャルイメージをよくわかって出演していると思う。

他のキャステイングも実力派で手堅く、ハナからお花畑を耕すラヴには行かないので、ラブコメがお好みな方には地味だったと思う。
シビアなシーンがいっぱいで刺さったし、私はラブコメの糖度で胸焼けする方なのですごく好きなドラマだった。
もちろん、ジホとジョンインのラヴにも甘いところはあったけどね。
甘さよりもそれぞれの人生が交叉していく点をじっくり描いてあってしかも意外と中弛みがなかった気がする。
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