ミーハー女子大生

東京女子図鑑のミーハー女子大生のレビュー・感想・評価

東京女子図鑑(2017年製作のドラマ)
4.5
このドラマの主人公の女性、綾は秋田県の大学を卒業し、東京のアパレル会社に就職し、20代で東京に上京します。
1話〜11話のエピソードの中で、20代〜30代へと年を重ねながら仕事、恋愛、家族という流れの中で、どんどんと「住む場所」が変わっていきます。
20代で最初に住む場所は「三軒茶屋」。
仕事も恋愛も順調になったら今度は「恵比寿」に引っ越す。
30歳直前になったら、次は大人のまち「銀座」。
結婚したら「豊洲」。
1人で自立した女性になるために「代々木上原」。

東京を舞台に住む場所がコロコロと変わっていきますが、その中で一貫しているのは、「他人の軸」で住む場所を決めていくこと。
他人からどう見られるのか。
周りから羨ましがられる場所に住みたいという見栄やプライド。
年収が上がるたびに、理想の自分は更新されていって、その理想に近づく街に住むために生活水準を上げる。
ドラマなので誇張したり、「流石にそれは大袈裟じゃない?」という表現も出てきますが、主人公・綾の住む場所はいつも「他人の軸」で決まっていく。
主に女性を視聴者として想定しているドラマですが、主人公が出会う男性の態度や言葉には、男性が見てもとても考えさせられるドラマだと思います。
このドラマは、地方の田舎から上京してきた20代の女性が、大都会・東京を舞台に「他人の軸」で住む場所を選び、人から羨ましがられる女性になるために経験する人間模様を描きます。
20代、30代の「住む場所」をテーマとした点が圧倒的に衝撃でした。

「他人の軸」で自分の人生を決めていく主人公。
大事だと分かっていても「自分の軸」で住みたい場所、ひいてはどんなライフスタイルを生きていきたいのかを立ち止まって考える時間なんて持てない。
自分に合ったものを見つけるのは時間がかかるし、痛い思いを何度もしないと見つからないし。
反対に、みんなが羨ましがるものは結構簡単に見つかります。
ドラマの中で、秋田大学時代の主人公・綾は地元のコンビニで、東京のキラキラした特集が組まれたある雑誌を立ち読みします。

"東京。
予約の取れないレストラン。
代理店の彼氏。
やりがいのある仕事。
六本木ヒルズ。
バージンシネマ(現Tohoシネマズ)のレイトショー。
一泊二日の箱根旅行。
ハリー・ウィンストンの婚約指輪。
幸せな結婚。
東京で生きる人は、ロールプレイングゲームの主人公のように、
人生をコンプリートするためのアイテムを一つ一つかき集めていく。"

現状に不満があるわけではないけれど、もっと良い人がいるんじゃないかという不安。
大学生から社会人に変わる時、転職のタイミング、友人の結婚式、30歳直前になる時など、人生の節目節目で結構この不安が出てきます。
自分軸で決めるのが大事と偉そうなことを言ってますが、じゃあ具体的にどうやって決めればいいのか。
その人自身の性格とか、直感である程度決めるタイプなのか、論理的にシステマチックに決めるタイプなのか、人によって合う合わないがあると思うので、一つの案として参考になると思うものを一つ。

「この人と結婚すれば、この人は(=相手)私を幸せにしてくれるのだろうか?」
というのは、相手ありきの考え方だけど、
「よし。この人と結婚して、私(=自分)がこの結婚を幸せなものにしよう。」
という自分軸の発想を、出発点にして考えてみる。
そうすることで、相手の嫌なところ足りないところではなく(=人を変えるのは難しい)、自分の力でコントロールできる領域に目を向けることができるようになる。
誰と一緒に人生を生きるかというパートナー選びでも、どこで暮らすと幸せなのかという住む場所選びでも、何かの決断に迷う時には、役に立つ考え方かもしれません。