サンチェス

ワンダヴィジョンのサンチェスのネタバレレビュー・内容・結末

ワンダヴィジョン(2021年製作のドラマ)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

アベンジャーズで最も悲しいと言っても過言ではないキャラの"ワンダ・マキシモフ"に焦点を当てたMCU初のドラマシリーズ。

MCU関係なく、1つの単体作品として個人的に偏愛しているなので、気に入っている点をいくつか述べていきます。

・まず本作の特徴として、1話ごとに年代が変わっていく(1950年代→60年代→70年代...)という設定が挙げられますが、これの何が新鮮かと言うと、それぞれの年代を代表するシットコム作品(「アイ・ラブ・ルーシー」,「ディック・ヴァン・ダイク・ショー」等)を模倣していること。

オープニング曲や映像の色合い、画面の比率などが各エピソードごとに工夫されており、過去のシットコム作品への全力のリスペクトが感じられます。毎回違うテイストのオープニングを楽しめますし、シットコムとして観ても十分面白い。個人的には7話のコメディに1番笑いました。
普通のドラマであればここまで1話ごとに違う演習を見せることはまず無いので、全エピソードそれぞれが尊く感じます。

・毎話繰り返されるシットコムの中で、時折現れる不気味なサスペンス要素も考察勢としては楽しませてもらいました。3話の最後とかほぼホラーでしたね。最終的には割とシンプルな終わり方をしたので少し残念な気はしましたが、謎の解明をすべく毎週金曜の配信が楽しみで楽しみで仕方ありませんでした。
小ネタも至る所に散りばめられているので、もう何回見返したか分かりません。

・8話で明かされるワンダの悲しすぎる過去に号泣しました。ウエストビューでヴィジョンと同棲するつもりでいたなんて、どれだけ泣かせにくるんですか。悲しすぎますし、ワンダが可哀そうで仕方がありません。

・↑にも関係する話ですが、今回ヴィランとして登場したアガサ・ハークネス(アグネス)は「敵役」でありながら「悪役」としては描かれていないことが割と大切だったと考えます。アガサは、ワンダがウエストビューの人々をどうやって扱っているのかを探ろうとしますが、それを暴力で解決するのではなく、ワンダに自分が辿ってきた過去の道筋を振り返らせることで解決しようとします。既に多くの人が仰っているように、これはある種の「セラピー」です。両親を亡くし、兄弟を亡くし、愛する恋人のヴィジョンを亡くしたワンダの"過去=トラウマ"をアガサが一緒に振り返るというこの過程は、どう見ても「悪役」がやることではありません。アガサは最終話でワンダと戦うだけの「敵役」なのです。

そう捉えると、この物語の「悪役」はヘイワード長官でしょう。彼は100%悪ですね。ワンダの願い通り(ヴィブラニウムの塊である)ヴィジョンを地中に埋めることはできないとしても、ヴィジョンを解体して兵器利用しようとする所をワンダに見せる彼はサイコパスですね。

・第5話のサプライズ「X-Menのピエトロ事件」はファンサービスとして処理されてしまいましたが、将来的にもう一度エヴァン・ピーターズのピエトロが見れることを期待しています。

・最後に、主人公ワンダを演じたエリザベス・オルセンの演技は賞賛に値すると思いました。コメディの演技はもちろん、時折見せるホラー的な怖い演技、そして過去の悲しみを上手く演じ分けたなと。