原作を書いた安東能明という作家は知らないのだが、ここのところ警察小説にはまっているので、これはドンピシャである。警察版の「半沢直樹」みたいなドラマとしては「小さな巨人」があったが、あれは顔芸の張り合いみたいなものだったので、このくらいがいい。
毎話、事件が起こり、意外な犯人が判明するのだが、あくまでもストーリーの主軸は警察機構内の出世争いである。そもそも主人公(田辺誠一画伯)はキャリアの警部ながら総務部の事務方で、刑事ではないのだ(それがタイトルの所以)。
初話には驚くばかりの美貌の#松本若菜(ブレイク前)が出ていたし、高橋和也、嶋田久作など渋い配役でじっくり芝居を見せる演出は快感。菅田俊が画面からはみ出しそうなキャラクターを演じていたのは素晴らしかった。
警察署長をリタイアした義父(山本學)と画伯にのけ者にされながら、早く本庁に戻ってもらって官舎を出ることしか頭にない妻に中越典子、物分かりのいい良妻でないところがリアルである。思春期の息子のエピソードは完結していないと思うのだが…
あと、大友良英の劇伴がよろしい。