固めの濃厚プリン

青天を衝けの固めの濃厚プリンのレビュー・感想・評価

青天を衝け(2021年製作のドラマ)
4.7
歴史好きな友人に影響を受けて実は初めて観る大河ドラマ。小学校の先生を目指していて、史実を自分の言葉で伝えられたらと思い鑑賞に至りました。

渋沢栄一「日本経済の父」という異名から、幼少期から才覚優れた人を想像していたが違った。藍葉農家百姓→一橋家→幕臣→駿府藩→明治政府→実業家という相反する立場で仲間、恩人、慶喜と出会い民全体の幸せを願い懸命に生きてきた人だと感じた。生きること、行動することの大切さを学んだ。

幕末から明治にかけては徳川慶喜、大久保利通、岩倉具視、西郷隆盛、土方歳三、伊藤博文、大隈重信、井上馨、福沢諭吉、北里柴三郎などの教科書に掲載される偉人と渋沢の関係性や交流が描かれていた。この面々が同じ時代に生きていて、何を思い、どう進んだのかが少しわかった。

好きな決断は徳川慶喜の大政奉還。戦を起こし、民の血を流さぬため悩みに悩んだ末の歴史的な英断だと思う。一方で、薩摩・長州は政を握るために武力で挑む姿が嫌いだった。渋沢栄一目線のため一面からの描き方だとは思うが。

幕末にパリに行くのは今の民間人が宇宙旅行に行くような珍しいことだと思う。何もかも先を進んでいる異国の地での渋沢の発見が今の日本を支えていると思うと当時に思いを馳せながら行ってみたいものだ。

今でこそ、街中に外国の方が多く交流し、脅威に感じることはないが、情報が僅かで何もかもが不安定な当時に自分が生きていたら尊王攘夷の思想を持っていたと思う。この背景の中で開国を幕府に提言した2つの藩は素晴らしいなと考える。

『青天を衝け』を観て1番考えた事は、安心して夜寝られるようになったのは、長い歴史の中でつい数十年前だということ。令和に生きる私たちは、言論の自由もあり、平和で便利すぎる世の中であるが故、逆にその権利の有難さをわかることができずにいる。友人が「歴史には大きな周期がある」と言っていて、何かの弾みで戦争が勃発し、そこでやっと現代の当たり前の有難さに気づけるのかも知れない。先人の血の滲む努力と犠牲の上に今が成り立っていることを心に留めて毎日を大切に生きたい。