エータキ

鎌倉殿の13人のエータキのレビュー・感想・評価

鎌倉殿の13人(2022年製作のドラマ)
5.0
とにかく面白かった。
毎週誰かしら死ぬし、死ぬ理由もほとんどが情報の行き違いと思い込みによるもので、視聴者としてはちゃんと話しあえばいいのにというどうしようもない気持ちを抱えたまま殺されていく様子を見るしかなく、毎週辛い思いをしながら観ていた。

年末の総集編で、若い頃の義時はこんなにも思いやりがあって優しい面持ちだったことに驚いたのを覚えてる。終盤は血縁関係だろうと怪しい動きを見せたらいかにして殺すかだけを考える冷酷無比で無慈悲かつ無表情な殺戮マシーンと化してたので小栗旬すごいなと思った。表情や纏う雰囲気が違いすぎる。

前半は対面で話し合えよとか思ってた。
しかしながら、中盤以降は結局こいつら話し合っても殺し合ってただろうなと思った。
頼朝が平家を倒し、生き残ってた清盛の子供を見つけて対面した時の「実際会ってみたらいい奴だけど、殺そう」みたいな発言は笑った。
一族根絶やしが基本の考えになってしまう過程を散々描いており、そもそも1話の時点で義時がたまたま会った頼朝を救うことで始まり、後半においても根絶やし忘れたことで実朝が暗殺されるのもあり、総論として鎌倉時代に生まれなくて良かったというのが強い。根絶やさないと根絶やされる世界。

コメディとシリアスの組み合わせが絶妙で、というかシリアスなコメディ調で今の自分が好きなジャンルでもあったのでほんと良かった。

基本的に優しい面を見せたキャラが翌週死ぬパターンだけど、ごくたまに平和なだけの回があり、そうなると翌週は大量の死人が出ていつもより余計にメンタル喰らった。
だけども徹底して隙あれば笑いも取ろうとしてた。なので感情が常にぐちゃぐちゃになる。

中盤でのタイトル回収があり、日本初の合議制を導入したけど各派閥からこいつも参加させたいが膨れ上がっての13人なんだというのと、結局翌週頭には13人からもすぐ死人が出るので一瞬すぎる!という展開は笑った。
だけど最終回ラスト15分ぐらいでももう一度タイトル回収があり、義時が権力を手にするために殺した仲間が13人という、そういう意味でもあったのかよという展開がやばかった。そして実際はもっと殺してるだろうけど、有名どころだけでも13人であり、ただ生まれつき義時が容易に殺す発想を持っているかというとそうではなく、義時から見た頼朝がそう見えて生き残る姿勢として学んでしまった(実際には常に直前で人を殺めることを度々中止にしてたけど間に合わずにターゲットが殺されることがしばしばある)し、頼朝の指示に従った結果周囲から義時が恐れられるようになり、自らもそういったキャラに近寄らないと生き残れない時代背景だったこともあり、闇堕ちするしかない悲しい話でもあった。

とにかくすごい
まじすごい