緑青

愛の不時着の緑青のレビュー・感想・評価

愛の不時着(2019年製作のドラマ)
4.5
お名前はかねがねお聞きしていたドラマをやっと拝見して、想像を超えるおもしろさに度肝を抜かれた。毎話数手汗を握り、ドキドキしながら観た。
韓国が韓国でしか作れないドラマ(言葉も文化も似ている「国」と国境を接している、それにもかかわらず連絡が安易に取れない、休戦中とはいえ何をするにも命懸けになる、財閥と軍隊がある)を突き詰めて突き詰めて、非常に誠実に、奇を衒ったことはせず、丁寧に作り上げてあり、観ていて満足感がすごい。全キャラクターの掘り下げがあり、愛おしい。特に中隊4人と村の奥様4人まわりの関係性がよすぎて泣かされた。3人のお母さんのキャラクター付けも本当によかった…。

主人公の年齢が30代半ば〜後半なのは本当にいいと思う。20代後半〜50代後半くらいの女性をメインの(ファンになってくれる)視聴者層として想定しているドラマだと思うが、大成功だろう。セリが経済的に自立していて、大人としての常識が身についていて、ビジネス面でのアイデンティティを確立していればこそ、ジョンヒョクとの恋愛で内面的に成長する様を安心して観ることができる。生活のひとつひとつから自分を大事にすること、自分を愛すること、それはそれを願った相手のことを愛することと同義になること、ほんとに「愛」の不時着だなと思って最後の話数は感服した。

韓国ドラマに毎度思うが、住んでいる部屋や職場のインテリアとか、小物のデザインとか、衣装とかメイクとか、すごく良い。特に衣装は「このキャラクターが選びそうな服」と「この役者に似合う服」の共通範囲をそれぞれの役で見事に攻め抜いていて本当に感服する。大好き。
あとスイスロケは最高ですよね。マジでロケ地が良い。行きたいじゃんあんなのは…!

全体を通して、プロパガンダ的な側面を見事に退けていた印象がある。南北統一に対する切実な祈りを抱いた作品でした。
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