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捨ててよ、安達さん。のtKoのレビュー・感想・評価

捨ててよ、安達さん。(2020年製作のドラマ)
4.4
安達祐実が本人役を演じるというメタ的な視点を持ちながら、どこまでがフィクションでどこまでがノンフィクションなのか分からない、絶妙なリアリティーを帯びた脚本がまず素晴らしい。

「雑誌の企画で毎回私物を捨てる」という設定で選ばれた私物たちが、彼女の夢の中で擬人化して現れ、過去を振り返りながら少しずつ"安達祐実"という人物を掘り下げていく。ただ、それだけなのになぜこんなにもグッときてしまうのか。

思い出の度合いはあれど、物を捨てることを決心するまでに費やす時間や過去を反芻する事で彼女の内に眠る感情が徐々に炙り出され、最後に爆発するプロットは見事。

最終回での安達祐実と謎の少女役の川上凛子の泣きのシーン、特に安達祐実の慟哭にも近い泣きの演技は今まで観てきたドラマの中でもトップクラスに入るほどの凄さ。

物を捨てることを通して描かれる自分の人生の振り返り、親との軋轢、子への執着、生きることのしんどさとそして素晴らしさ、すべて詰まった素晴らしいドラマ。
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