あやの

THE LAST OF USのあやののネタバレレビュー・内容・結末

THE LAST OF US(2023年製作のドラマ)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ep.1
ゲーム原作の内容を踏襲しつつ、原作ではさらっと流されていた設定の掘り下げもあり、原作ファンも大いに楽しめる作品になっていると思います。
一度はミュージシャンの夢を追いかけたジョエルの音楽好きとしての一面が、ドラマ版では物語にも直結する要素になっているらしく、今後のポップスの使い方にも関心があります。

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ep.2
原作ディレクターのニール・ドラックマン初監督エピソード。
管理区域の外に出た3人を待ち受ける、危険な感染者たち。
遠く離れた感染者同士が地下に張り巡らされた菌糸でコミュニケーションを取り合うのは、原作には無かったオリジナル設定。
キノコ菌がモチーフのラスアスならではの要素を際立たせる良設定でした。
テスの死に際はニールらしい悪趣味さ全開で、これまた良き。
あの後味が悪さがあと引くラストがまさにラスアスの醍醐味。

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ep.3
原作ゲームでは回想シーンを排し情報を限定することで、初めて外の世界へ触れるエリーとプレイヤーの感情を共通化させ、イマジネーションの余地を与える作りになっていました。
それがドラマでは、サブキャラの回想シーンに丸々1エピソードを費やす、正反対の演出が採られている点が非常に興味深いです。

ep.3では、原作きっての曲者ビルがメインの回です。
原作では警戒心が強く非常に頑固で、エリーとの罵り合いが面白いビル。フランクというパートナーがいたこと、ゲイであることが示唆されていましたが、その人物像について多くは語られていませんでした。
そのため2人のロマンスに全振りした今エピソードは、そう来たか!と唸らずにはいられませんでした。

こうした大胆なアレンジが原作の世界観を損なっているかと言うと決してそんなことはなく、原作と地続きの物語としてすんなり受け止められます。
"私たちの最後"というタイトルや、荒廃世界で懸命に生き延びる名もなき人々に光を照らす原作のテーマと照らし合わせても、これほどまでにラスアスの世界を体現した実写化が為されたことに感動を覚えます。

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ep.4
新章への繋ぎの回といったところでしょうか。
ドラマティックな見せ場はないものの、ジョエルとエリーの関係性が変化を見せる重要な回でした。

ジョエルと揉み合うハンターの足をエリーは拳銃で撃ち抜き、絶体絶命の危機を救います。ジョエルは隣の部屋へ行くようエリーに促し、命乞いする敵の息の根を止めました。
衝撃的な出来事に動揺を隠せないエリーにジョエルは優しく慰めの言葉をかけるのでした━━。
命乞いする敵にも一切の容赦がないジョエルの冷血さと、強さに裏打ちされた性根の優しさのギャップにグッとくるep.4。
原作ではもっと不器用でエリーを厄介扱いしていたジョエルもドラマ版ではすっかり立派なパパの様相。
あの照れが見え隠れして素直になれない感じも好きなんですけどね〜。

またキャスリーン率いる新勢力の存在が顕に。
原作では"ハンター"と総称された、ならず者の視点も描かれることで、作品の世界観に深みと説得力がもたらされています。
キャスリーンは、ep.4を見ただけでは正直強い個性は感じられず、キャラにハマりきってない自分がいるのですが、来たるep.5でどんな爪痕を残すのか楽しみです。

そして注目すべきはビルの地下から鳴り響く不気味な咆哮。
新しい形態のボス的感染者が姿を現してしまうのでしょうか😨
感染者とハンターとの三つ巴の争いに期待してしまいます。
あやの

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