このレビューはネタバレを含みます
良いねこういう硬派なサスペンスドラマ。
ベストセラー小説のドラマ化とあってストーリーがしっかりしてる。
基本的には暗めだけどギリギリの所でエンタメ性も保ってくれてるから題材とは裏腹に案外見やすいドラマだと思う。
途中まったりしたエピソードもあるものの最終話手前ら辺の展開は見入った。
ただちょっと府に落ちないのは肝心の最終話。
敢えてそういう作りにしたんだろうけど8話もやってモヤモヤ感残して終わるのはズルい。
シーズン2を作る事前提だったとしたらもっとズルい。
リミテッドシリーズだし多分シーズン2なんて無いだろうけど。
基本的には原作に忠実らしいのだがやはり相違点はかなりある模様。
例えばメキシコ旅行の一件もドラマだと行方不明になる女の子は見つかるけど原作だと水死体として発見される。
しかもジェイコブは血のついた水着で部屋に帰ってくる。
それ以外にもジェイコブから殺人遺伝子の存在が認められてたり刑務所に居るビリー(JK・シモンズ)が手下を使ってパッツを殺したとされる裏付けもより明確に描かれてたりする。
なにより大きな違いは最後ジェイコブは原作だとあの車の事故で死ぬと言う事。
ドラマでも一応重傷を負って植物人間みたくなってるけど多分生きてる事は生きてるよね。
これらで分かる通り原作の方がよりジェイコブをサイコパスに描いてるしベン殺しの犯人もジェイコブ確定と言わんばかりに描いている。
それらの要素を敢えてドラマで排除した理由は明白で最後までジェイコブが犯人なのかどうか分からないようにする為。
悪く言っちゃうとドラマを「引っ張る為」の策略だったと言える。
原作を本当に忠実に描いてたら途中でジェイコブが黒ってのは確定しちゃってつまらなくなるし分からなくもないがね。
それらが正解なのか不正解なのかは分からないが人気俳優であるクリエヴァを主役にした"魅せるエンタメドラマ"としてはまあ正解だったのかもしれんね。
とは言えやっぱりもっとスッキリさせる終わり方が良かったよなあ…。
それまではかなり完成度の高いドラマだったからこそ最終話だけ惜しい。
IMDbでも7話は9.2と高スコアを出してるのに最終話は8.1と低くなってるのを見れば分かるけど海外でもやはり最終話に不満を持つ人が多いのかも。
確かに7話はとんでもなく面白くてこれ最後どうなるんだああ!??って興奮したからね。
でも良作に変わりはないと思う。
最後まで飽きずに見れたしクリエヴァはもちろん奥さん役もジェイコブ役のジェイデン・マーテルもめちゃくちゃ良い演技してたし。
ジェイデン・マーテルは将来どんな俳優になるのか凄く楽しみである。
それとクリエヴァの父親役にJK・シモンズが出てくるとは知らなくて出てきた時めっちゃ豪華やん!ってビックリした。
この人は毎回良い演技してくれるわ。
でまあ長くなったけど結局の所このドラマはジェイコブが犯人なのかどうかよりも息子を愛する母と父の構図を(愛し方の違いを)描きたかったのかなと。
両者とも息子を愛してる事に違いはないが母親は自分が生み出してしまった化け物ジェイコブを止める(殺す)のは自分の使命だと暴走する。
父親は自身の暗い過去から自分の家族を壊したくないという気持ちから犯人でっち上げを知りながらもそして妻の暴走も恐らく分かってただろうけども事故だったと保身に走る。
どちらの気持ちも分かるから辛い。