ぺんぎんたろすけ

この声をきみにのぺんぎんたろすけのレビュー・感想・評価

この声をきみに(2017年製作のドラマ)
4.3
自己中心で人の気持ちがわからない(考えようとしない?)数学者の穂波が、ひょんなことから朗読の会に参加することになり、そこに集まる人たちとの関わりの中で少しずつ変化していく気づきの物語です。

朗読をする時に空想の世界へ飛んでいくのが特徴ですが、全面的にメルヘンというわけでもなく、時には大人な展開もあります。自分も時々は読書をしますが、読みながら本の世界を頭の中で想像しますし、それがここでは主人公のフィルターを通してですが映像化されているというのが面白かった。

朗読の題材も絵本や詩集や短歌、エッセイなど多岐にわたっていていて、特に印象に残ったのは、

ふたりはともだち(絵本)
回転ドアは順番に(短歌他)
贈るうた(の中の"ほぐす"という詩)

です。もちろん他にもまだまだたくさんの作品が出てきます。

登場人物はみんなそれぞれに個性的なキャラクターですが、悪人的な人はいないです。そういうのが苦手な方は苦手かもしれませんが、僕は空想の世界や主人公が想像を巡らせる部分を落ちついて観られるので良かったです。

あんまりバキッとは描かれていませんが、主人公(竹野内豊)と邦さん(杉本哲太)の良い関係性がふんわり伝わってくるのが素敵だなと感じました。大人になってからできるこういう関係性って貴重だなと改めて思いました。