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カムカムエヴリバディのakのレビュー・感想・評価

カムカムエヴリバディ(2021年製作のドラマ)
2.9
この作品の大きな柱である、複数のヒロインと幅広い時間軸が存在することによってキャラクターの行動に対してメタ的な視点で見ることができるということが印象に残った。この視点を介すことで、ヒロインは自らの手だけで生きているのではなく、先祖と時間共に歩いていることを実感する。しかし、この視点は彼女らを過去の呪縛から解き放つことを困難にするものでもあるだろう。

上記の点と関連して、この作品で残念だと感じたところが円が閉じたこと(三人の道が一つの道になったこと)である。私は物語において、奇跡という存在は嫌いではない。しかし、この結末には奇跡というより伏線回収の結果としての側面を感じざるを得なかった。戦後にかけて、世界や社会は広がることで彼女らの可能性は広がっているはずなのにこれでいいのだろうか。日向の道はここにしかなかったのだろうか。私は彼女らの人生よりも暗闇で生きた虚無蔵の人生の方が周りを照らしてくれるのではないかと思った。


一番楽しめたのはるい編て、そこでは上品さと生の孤独さ、それでも他人が照らしてくれる光とが重なりあうことによって、成熟した成熟を感じた。
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