Kaji

保健教師アン・ウニョンのKajiのネタバレレビュー・内容・結末

保健教師アン・ウニョン(2020年製作のドラマ)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

原作未読。チョンセランの小説は短編を読んだことあるけど、雰囲気や発想がまんまだ。脚本もチョンセランが参加している。

このドラマ、結構お気に入りで3周くらいしてる。
割とサクサク進むし、学園ファンタジーなのに浮かれた感じがあんまりなくて、自分の力を恨めしく思いながら使命感で行動するウニョン先生のチョンユミと、飄々としつつ自分の家系が関わる学校の秘密とウニョン先生にペースをやられてしまうナムジュヒョクのホン先生のコンビ。と生徒達。
みんなの距離感が独特で好き。

虫を食べる子が同性愛者とか、付き合ってないけどずっと一緒にいるよなって奴らが窃盗してたり、英語ネイティブの先生が怪しげな新興宗教だったり、急に集団でおかしくなったりと出てくるエピソードに絡めている世相にも実社会への目線を感じる。

たとえ自分にとって忌まわしく思える素性を持って生まれても、それが自分にしかできないことだったら受け入れて役立てようとするアンウニョン先生が、悩んだりしつつ、後ろめたさがないとこが良い。

学園ものって、「学校が世界のすべて」だった頃を掘り出していくか、近年「セカイ系」が流行った中で、世界の問題と自分たちの問題が直結した作品が多くて「セカイ系」が苦手な私はその手の作品群を楽しめなかった。
その二つは直結しないからだ。
アンウニョン先生では、怪異は人間の情念の集積であったり、学校の地下空間にオカルティックなものがあったりと、知られざる世界の見えている部分から、現在暮らしている場所の確からしさが「もしかするとおかしい」という疑念が生まれるストーリーラインがめちゃドキドキするし、社会政治のニュースを深読みするときのような「実はこんな下地だったのか」と問題の伏流水を発見した時の怖さがある。


蛇足ですが、アンウニョン先生のアイテムに80年代生まれっぽいセンスを感じるのだけど、チョンユミはキムジヨンも演じているね。
80年代生まれは、軍事独裁末期生まれでかつ民主化、97年の金融危機、橋とデパートの崩落と韓国の現代史を多感な時期に体験している。
<原作者チョンセランは84年生まれだそうです。イギョンミ監督も女性でしかも「ミジャンセン短編映画祭」でパクチャヌクに才能を認められた人物。コンヒョジンがトンデモヒロインの「ミスにんじん」の監督脚本。
OSTが「コクソン」や「新感染」を手がけたチャンヨンギュ音楽監督。>

<>はネット検索して得た情報です。
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