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ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナーのwandaのレビュー・感想・評価

4.5
『ヒルハウス』との繋がりはないので、『ブライマナー』単品でも予備知識なく鑑賞可。

『ヒルハウス』のインパクトが強くてどうしても比べてしまいますが、私はどちらも同じくらい好き。
ホラーや絶望感、ミステリアスな雰囲気を味わいたいなら前者がおすすめ。でもラストのカタルシスは、私は本作の方が圧倒的で、さめざめと泣いてしまった。
両方とも、「愛」がテーマで切なさがエグいことは確か。どちらが面白いと思うか(あるいは共感できるか)は、完全に好みの問題かなぁと思う。

2007年アメリカ。ある結婚式の前夜、一人の女性が暇潰しに「幽霊話」を招待客に聞かせる。これは彼女が聞いた話だと言う。

1987年イギリス。アメリカ人の若い女性が、両親を亡くした幼い兄妹の世話係として屋敷にやって来る。広い屋敷には、兄妹の他に、家政婦、コック、庭師のみ。しかし、どう考えても屋敷の中にヒトの気配がいくつもあるようだ…

正直なところ、最初の4話くらいまでは、前作のように構成が面白いとか、先が気になる程ひきつけられなかった(怖くないのはありがたいですが笑)
4話になり、世話係ダニと庭師ジェイミーの関係が急接近してキマシタワー!!

ここから本作のテーマが少しずつ見えてきたと思ったら、5話になると急展開。
家政婦の精神世界?の話になり、屋敷についての謎が一気に膨らみ、頭が混乱して楽しくなってくる。

以下、かなり結末に触れます。






キマシタワー展開で、私の弱点は、どちらかの「死」が訪れること。そしてそれがこじつけでなく「不可避」だった場合。
(昨年の『ターミネーターNF』、パートナーを守るために自分の命を犠牲にしていた)
デッドエンドは手っ取り早いお涙頂戴だけど、二人の絆が強固であるほど切ないし、悲しいし、本当にこれ以外の選択はなかったのかな?って考えちゃう。ダニは、もらい事故感が半端ない。
彼女は優しいから、最後は誰も巻き込まず一人でひっそりと…
水の底のダニへ、必死に手を伸ばしても届かないジェイミー。届いたとしてもダニはもう側にはいない。くそ泣いた!

最終話まで見ると、冒頭の語り手の女性はイギリス人の庭師で、彼女が眠りにつくラストが、1話の冒頭にリンクしていることが分かる。
私はにぶいので、語り手が20年後の庭師と気づくのにだいぶ時間がかかった(笑)
訛りがぜんぜん違うのはわざとなのかもしれない?(あの訛りを演じるのは難しいというのは置いといて笑)そもそも、この結婚式の花嫁、参列者はブライ関係者だけど昔の面影が全くない。それは庭師の体験談に、虚構も少し混ぜられているからか?

「最愛の人が先に逝ったら」
時間が一番のくすり。この世の終わりと思っても、何日、何年、何十年と経てば心の傷は自然と癒える。それでも、その人との記憶を忘れない限り、思い出はずっと生き続ける。死者についての記憶や思い出を誰かに話すことは、とてもとても大事なこと。

余談。
世話係の薄幸顔と変な走り方が愛しいし、庭師のほぼ全然聞き取れない訛りが最高でした。perfectly splendid !!
6話でジェイミーの訛りを真似してるダニが可愛かった(笑)

11/22追記。
2周目も英語音声+日本語字幕で。伏線回収のおさらいは出来た。
最後はどうしても、どうしてもぼろ泣き。
ヴァイオラの怨念が強すぎぃ!
ダニにはもう、ヴァイオラを受け入れる選択しか残されておらず、ジェイミーを守るためなら、自分を犠牲にするしかないとは…
残されたジェイミーは、彼女の分も強く生きなくてはならない。ダニとの思い出、記憶を、自分の胸にとどめておくだけでなく、誰かに語ること。その誰かが、また別の誰かに伝えること。亡くなった人は、そうやって生きている人の中で生きるのだと思う。最愛の人が亡くなった時、それとどう向き合うか考えさせられる。
愛と記憶についての物語。
ラストカット、余韻に浸る。
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