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僕らのままで/WE ARE WHO WE AREのFrengersのネタバレレビュー・内容・結末

僕らのままで/WE ARE WHO WE ARE(2020年製作のドラマ)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

 凄すぎ。イタリアにあるアメリカ軍基地における確かにあったはずのユーフォリアが政権交代を境に分断されていく瞬間を克明に捉え、アメリカの外側で物語を終えるまでの8話。長回しとジャンプカット、テキトーな照明とポスプロ効きまくりの光、手前と奥、シンメトリーといった人物の配置による画面構成、クレーン撮影、手振れ、フィックスと撮影の幅によりあぶり出される脆く儚くもありながらも露わになっていく個と関係性。

 家庭や属性を超えた繋がりはその境界線ごとに収まっていく。酒池肉林を極めていた部屋はドラッグによって暗転し、淡い期待(「夜をぶっとばせ」がかかる散歩シーン→ストーンズのロゴのソックス)は実ることなく失墜する。しかしボーダーの服を着た瞬間を目撃したあの窓から、主人公たちはアメリカの庇護から抜け出しもう一度関係を始める。明日には離れ離れになるにもかかわらず。

 この社会の動向と個人の関係性を描いた、ある意味シンプルなプロットは、例えばプラットフォームの変化と作品というテーマで見直すことも可能で、つまりドラマそのものでもある。ルカ・グァダニーノは「映画についての映画」のような作品をもうすでに撮っていたんだなと実感した。

 にしてもコレ第一話だけを無料にして見てもなにも分からないなぁ。第二話とセットなのだから。最高なドラマだった。
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