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僕らのままで/WE ARE WHO WE AREのsonozyのレビュー・感想・評価

僕らのままで/WE ARE WHO WE ARE(2020年製作のドラマ)
4.0
『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督が初めて取り組んだテレビドラマ。

イタリア・キオッジャの米軍基地に司令官として着任したバイセクシュアルの母親サラ(クロエ・セヴィニー)とレズビアンの妻マギー(アリシー・ブラガ)と共にNYから越してきたファッション好きな14歳の少年フレイザー(ジャック・ディラン・グレイザー)と、この地で出会う友人たちが、自身のアイデンティティやセクシュアリティに悩み、揺らぎ、混乱し、衝突しながら、自己を探求していく、ティーンのリアルな葛藤を捉えた60分 x 全8話の物語。

フレイザーと、一番の親友になるケイトリン(ジョーダン・クリスティン・シモン)が主役的に展開しますが(ジャケ写の中央の二人)、この二人の揺らぐセクシュアリティ、仲間との友情・恋愛感情、親や大人たちを含めた人間関係の変化をナイーブに捉えたリアリティが素晴らしい。

二人の友人の一人、ポチャエロなブリトニーは、マーティン・スコセッシの娘フランチェスカ・スコセッシが演じてます。

フレイザーは前半、14歳設定なのに常に酒瓶を手に昼からガブ飲みのアル中状態、挙動不審な感じ、嫌っている母に突然ビンタしたり…と非常にヤバそうなキャラとして登場します。
母がバイセクシュアル(妻マギーと愛し合ってますが、直属の部下の男子にも手を出したり)で軍の司令官。父親を知らない(この件を母がちゃんと説明してくれていない)など、普通ではない環境で、母が関係を持ってしまった兵士ジョナサンに惹かれていたり、セクシャリティも揺らいでる。

隣に住むケイトリンは、性同一性障害に悩みながら、父リチャードが男同志な感じで可愛がっているが彼女の悩みに気付いている様子はない。マギーによってレズビアンに目覚めた母ジェニーと、生き方や信仰に悩む兄がいる。
ケイトリンはある日、長い髪をバッサリ切って丸刈りになり、髭を描いたりするが・・。

という2人なので、互いのアイデンティティ/セクシャリティの悩みの一番の理解者となります。

LGBTQ+という言葉は普及しましたが、セクシャリティは自分自身でも明らかでなかったりする複雑で多様なものだよなぁと、特に最終話のフレイザーとケイトリンを見て改めて気付かされる作品でした。

ルカ・グァダニーノ監督の、センシティブなテーマの演出力、さすがです。
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