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クイーンズ・ギャンビットのutakoのネタバレレビュー・内容・結末

クイーンズ・ギャンビット(2020年製作のドラマ)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

天涯孤独となった幼きベス。孤児院で学び成長しチェスの天才女流プレイヤーとしての才能を開花させ、己れの境遇と才能に一喜一憂しながらも逞しく生きる女性の姿が描かれた素敵な作品でした。

母親を亡くしドン底から始まる冒頭から、何やら重めな空気を纏い進む話しですが、訪れる困難と幸せに向き合い悩みながら運命に食らいつく女の子をアニャ・テイラー=ジョイが好演。目ヂカラがとても印象的です。おしゃれなファッションと音楽で目と耳にも楽しく、無駄なくテンポよく展開していくので、チェスに詳しくなくとも引き込まれました。

運命を手繰り寄せ養父母の元で安定を掴んだベス。男尊女卑の時代、好奇の目に晒されつつ飛ぶ鳥を落とす勢いでチェス界で躍進を遂げ登り調子で展開する前半。その後一番の理解者であった義母まで失い、チェスしかない本当の孤独に追い込まれてゆく。負けが続き最後の砦であるチェスすら自分の手を離れかけ、母や義母のように惨めな運命に落ちかけますが…。
もうダメかと落胆する局面で『人生捨てたもんじゃない』と感じさせてくれる展開や『ひとりじゃない』と訴えてくるラストはベスと共に救われ熱いものが込み上げました。全7話という尺ながら山あり谷あり見応えがありましたね。

男や夫に依存して生きる母親や義母がベスとは対照的に描かれていますが、女性解放運動が始まった1960年代〜が舞台ということからも女性の自立を描いており、希望とか勇気を貰え最近観たオリジナル作品の中でも良作でした。観て良かった。
(TさんEくんありがとう)
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