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TOKYO VICEのnileのレビュー・感想・評価

TOKYO VICE(2022年製作のドラマ)
4.4
マイケル・マンが制作総指揮を務めた90年代の日本を舞台にしたクライム・サスペンスドラマ。

主役のアンセル・エルゴートの日本語がかなり上手。元々演技上手いのに更に磨きがかかっていた。既にシーズン2も決定しているらしいので今後も楽しみ。

日本に移り住み、日本で犯罪事件担当の新聞記者となったジェイクはとある事件から日本の裏社会、ヤクザとの関わりを紡ぎ出していく。もし間違えれば一触即発な場所で、日本人らしい所作を覚えた新人として、時には何も知らない好奇心旺盛な"外人ボーイ"として危険な状況を切り抜けていく。

どのエピソードも重厚で緊張感のある演出やカメラワークが素晴らしいが、やはりマイケル・マンが監督をした1話がぶっちぎりで良い。
『AKIRA』を思い出させるような劇伴をバックにジェイクが居酒屋、電車や人混みの中で教科書を読んだり、フラフラと歩くだけなのにそれをグワングワン揺れるカメラワークで激情的に撮ってしまう手腕。
新聞社での採用試験ですら、爆弾解除をしているかのようなヒリついた空気感が感じられて息をつく暇を与えてくれない。
2話以降ももちろん良かったが、全話マイケル・マンに撮ってほしかったのが本音。
とはいえ明らかに現代の日本なのにそこから残された90年代感をかき集め、そのつぎはぎを感じさせないリアリティーや物語的にはヤクザ、警察と記者の均衡が崩れて大波乱が予想される展開は面白く、一気見してしまった。シーズン2が待ちきれない。
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