まりん

なぜ君は絶望と闘えたのかのまりんのレビュー・感想・評価

なぜ君は絶望と闘えたのか(2010年製作のドラマ)
5.0
山口県光市の母子殺害事件を基にしたフィクション作品。被害者遺族を演じる眞島秀和の熱演に圧倒される。見た目も本村さんご本人にそっくりで、彼の人生をそのまま見つめているかのような錯覚に陥る。恥ずかしながら本村さんがこんなに若い方だということを初めて知った。今の私よりもずっと若い頃に家族を亡くし、今の私と同じくらいの時に裁判所で意見陳述されている。ただただ彼の胆力、精神力、そして自制心に頭が下がる。「こんな成長よりも当たり前の毎日が欲しかった」という言葉には何も言えなくて、苦しくて仕方がなかった。多くの遺族は当然そう思っているだろう。この言葉を聞いた時のボロ泣きは、江口洋介の本物の涙なような気がした。彼にも家族がいるから。
心も頭もグチャグチャなはずの遺族の方々が必死に冷静さを保とうとしている姿を見ると、私のように“今は”無関係の人々も冷静になる努力をすべきと思う。個人的には、まずは死刑制度や司法についてもっと知りたいと思った。その上で自分なりに犯罪、命、生きる意味などについて考えていきたいのだ。
あとは何よりもやっぱり被害者と遺族が救われる世の中を作りたい。この想いは一生持ち続ける気がする。彼らは聖人では無く、普通の人間だ。少なくとも無関係の一般人たちに何か言われる筋合いはまっっっっったく無い。どうしたら彼らの救いになれるのか全く分からなくて途方に暮れているけど…。
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